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第百十一話 エリザベートの気持ち
エリザベートは二人とは少し離れた場所で聖剣を振りはじめた。
クラウドとルビアスに声をかけることはせずに。
邪魔をしたくないという気持ちもあったが、エリザベートは一人で剣を振りたいと思ったのだ。
もっと強くなりたかった。
もっと強くなりたい。
守られるのではなく守るぐらいに。
仲間と協力して戦うことに嬉しさを感じる一方で、やはり窮地に陥った時の悔しさは何倍も感じた。
焦りだ。
クラウドは文句なしに強い。
経験も豊富だ。
ルビアスは魔法と剣をうまく融合して進化させた新たな力にしている。
素直で柔軟な心は、自分にないもの新しいものを瞬く間に吸収する。
私に足りないものはなんだ。
私の吸収する壁を阻むものはなんだ。
エリザベートはそう自問する。
驕りか?
驕りと自信は違う。
私には何が足りない?
エリザベートは懸命に聖剣エクスカリバーで海岸線に数十本も並ぶ大木に斬りつけ続け敵のイメージを描く。
クラウドとルビアス王子は、エリザベートのそんな様子に気づいていて。訓練しながらも注意深くエリザベートを見ていた。