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第百七話 ルビアス王子の憂い
やっぱり西国の獅子クラウドにはおくれをとったなと思った。
大好きなエリザベートが恋敵クラウドと話すときの心の距離が近づいてる気がしてる。
だいたい戦場でも敵わなくて悔しくて。
ルビアス王子は悔しくてたまらなかった。
だけど変な話だが、大型帆船の魔獣巨大ダコとの戦いでクラウドと協力して、話し合ったわけでもないのに息のあった連係プレーの攻撃が出来たとき、ゾクゾクしたんだ。
一緒に戦う喜びを感じてしまった。
自分の兄たちとはまた違う年上の強い男への憧れ、尊敬の念がクラウドに対しても湧き上がっていた。
だけど恋は別。
エリザベートをクラウドに渡したくはない。