第百三話 眠りに落ちて
大型帆船からエリザベートの白い家に来た。
ランドルフはアリアたちと協力してすべての毒に冒された者たちを回復して、みんなでエリザベートたちのもとへ戻った。
ルビアス王子に防衛魔法を教えたりもした。
黒の魔法使いランドルフは夕ご飯が出来るまでは、仮眠を取りたいとエリザベートに申し出たらあっさり承諾された。
「クタクタだ」
聖女アリアもいつの間にかロッキングチェアで眠りに落ちていた。
「ずっと魔法を使いっぱなしで疲れたのね」
優しくエリザベートはアリアに毛布ををかけ、微笑んだ。
そしてソファに横になるボクにも毛布をくれた。
「どうぞ」
なんとボクにも微笑みつきで。
「君は天使のようだね」
エリザベートに語りかける。
「…どうしたの? ランドルフ。機嫌取りならしなくてもいいわよ」
エリザベートが怪訝そうに笑う。
「それとも君は聖母かな?」
「どうしたのよ? 疲れすぎた? 歯が浮くセリフを私に言ったってなにもでないわよ」
エリザベートの小さな家は外観からの想像よりはまあまあ広い一部屋しかなくて炊事場もすぐに見渡せる。
料理を作るクラウドとルビアス王子に、時々は手伝うダンバ。
ダンバはあまり料理をしたことがなさそうだな。
「ねえ。君。クラウドとなんかあった?」
仕方ないから小声で気を使って言ってやった。
ボクはこういうの鋭いんだ。昔から。
顔が真っ赤になるエリザベートを見ながら、ランドルフは眠りにおちた。
(君らってかわいいな)
ランドルフはからかいたくなる。
そう。
昔から。
黒の魔法使いランドルフはアルフレッドとエリザベートが城の庭で遊んでる夢を見た。
「来いよ。ランドルフ!」
「ランドルフもいっしょにあそぼう。早く早く!」
優しい友達はボクにも声をかけてくれる。
三人でよくかくれんぼをしたよな。
ごめんなさい。
裏切るつもりなんてなかったんだよ。
ねえエリザベート。