第百二話 聖剣エクスカリバー
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聖なる剣は幾年月もじっと待っていた。
相応しい相手が現れるまで、聖剣エクスカリバーはその岩陰に淡く光り輝きながら。
この剣は天上世界から地上世界への贈りもの。
邪悪なる者に立ち向かう勇気を与え正しい道へと導く、手助けをする。
邪悪なるものが現れた時。
立ち向かおうとする勇者こそが引き抜ける聖剣エクスカリバーがここにあった。
地上でただ一人を待ち続けている。
地上のただ一人だけがその資格を持つ。
世界を脅かすものを聖剣エクスカリバーが斬る。
神から与えられし聖剣エクスカリバーは漆黒の勇者のみが持ち主だ。
資格を持つのは勇ましく邪悪に立ち向かい、民のために正しい信念を胸に誓い戦う者であった。
そう、持ち主は選ばれた真の正義を抱き貫く勇者だけ――。
他の誰でも刺さる岩からも鞘からも引き抜くことはできない。
力強い光の力。
美しさが煌めいて。
天界の神が作りし聖剣エクスカリバーは、地上のブルーサファイアとダイヤモンドに近しい鉱石と雪の結晶で出来ている。
この剣は美しく強靭だ。
やっと待ち望んだ漆黒の勇者エリザベートが引き抜いて聖剣エクスカリバーは彼女のそばでさらなる輝きを増していく。
穢れなき清浄なる魂の持ち主が正当な聖剣を握り振るえるのだ。
まるで共に戦えることを喜ぶかのように、今日も剣は漆黒の勇者エリザベートの手のうちで光り輝いているのだ。
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