オカルト研究部(9)
あらすじ
写真部の敬一から心霊写真を見せられたオカルト研究部の鴨川洋子は玲子に集団デートの手助けをして欲しいと頼んだ。
「敬一とデートしたいのなら二人きりじゃ駄目なの?」オカルト研究部の洋子は腕を持ち上げて両手を頬にあてるとくねくねとする。「だってなんか恥ずかしくて」私はそれを見るとムズムスしてきた。私も恥ずかしい。
「じゃあ誰かに相談してみる……」私は席に戻ると八重と大神十郎の席に行く。彼女達は許嫁の仲だ。「お願いがあるんだけど いい?」話をすると大神の方が「いいぜ日時を教えてくれ、八重とデートに行く」と了承する。八重を見ると「私も問題ありません」嬉しそうなカップルに私はアテあられる。
後は武雄だ、舞子と一緒に行ってもらえれば三組のカップルになる。武雄に話をすると「日時がわからないとな」と渋っている。心霊のバイトがあれば難しいだろう。私は「日時を後で調整しましょう」と話を通す。舞子の席に行くとまた同じ話を繰り返す。「玲子はいかないの?」と真顔で聞いてくる。「私は……相手が居ないじゃない」まさかクラスの他の男子に頼むわけにもいかない。
かなえは話を聞いているらしく「私とデートすればいいじゃない」と腕をとられた。もうすっかり恋人レベルだ。「そんなに人が居ても洋子が困るんじゃ?」舞子は「多い方がきっと楽しいわよ」と笑う。
休日になんとか全員のスケジュールを調整して集団デートが始まる。私は男性っぽくして下はジーンズで参加する。ベースボールキャップをかぶれば男に見えなくも無い。かなえが私を見ると近寄ってきて「イケテるじゃん 今日は楽しい」とはしゃいでいる。まぁ彼女が安定すればそれだけ良いレポートを警察に報告できる。もし変な報告をすればかなえがどう扱われるか心配だ。
行き先は水族館にする。動きのある乗り物は苦手な子もいるしゆっくりと見て回れて時間が潰せる施設としては最適だ。観覧車もあるので夕方に乗れば、良い思い出が作れる。
敬一が私に近づく
「玲子君 すっごく素敵だ」
目をキラキラとさせて興奮をしている。
「ちょっ…… ちょっと近い」
私は両手を前に出して押し戻す仕草をする。たぶん敬一の体に触ったら、私は速攻で手を洗いたくなるだろう。別に彼は何も悪くは無い。悪くは無いが苦手なのだ、ナメクジだって生きている。でも素手で触ったらやはり手を洗いたくなる、それと一緒だ。敬一は微塵も悪くない。なめくじに生まれたからってそれは罪ではない。
かなえはそれを見て「なんで こいつの命を助けたのよ」とあきれた顔をする。敬一は前にかなえに呪縛されて殺される所を、私が助けている。それとこれとは別だ、人には好き嫌いがある。全ての人を好きになれない。だからこそ相手と距離を置く。遠くから見れば生暖かい目で見られる。敬一は銀河の遙か彼方から見ればきっと素敵な人と、適当な事を想像しながら集団デートが始まる。
続く