オカルト研究部(5)
あらすじ
鴨川洋子は、部活動で百物語の最中に、呪術師のかなえの力を見て壁に頭をぶつけてしまう。部活動の危機の状態に。
オカルト研究部の部長の洋子がひさしぶりに登校する。私は目で追いながらも黙っていた。彼女はマニアであってリアルで関係するのはキツイと思える。私は目を伏せて考えた。彼女には悪いが退部した方がいいのかもしれない。かなえが近づいてくると顔を近づける、私の耳元でささやく「洋子に謝った方がいいかしら?」
私はかなえを見る。罪悪感があるみたいだ。「大丈夫、私から説明するから安心して」かなえは微笑むと私に触れる。指先だけ触れる、試すような感じだ、弱気なのだろう。私はかなえの手の甲に触れると「大丈夫よ」となでる。私から見るとかなえは、精神的にかなり幼い部分が残っている。少しずつ安定しているのでレポートに書こう。
授業が終わると洋子の席に移動した。「ケガは大丈夫だった?」洋子が驚いたように私を見ると「新しい部活動の内容を考えました」やけに張り切っている。怖がっているかと思ったがそうでもない。「あの……蛇の件だけど」「あれにはびっくりしました、手品が上手なんですね」どうやら彼女は常識で判断していた。それならそれで問題はない。どんな状態になっても自分が誤解をしていると認知できれば、それは怪異ではない。「そうね、イタズラが過ぎてごめんなさい」
放課後は、また舞子とかなえで部室に行く。洋子は、会議用の長い机の上に奇妙な道具をいろいろと並べている。どう見ても怪しいグッズを買い込んだらしい。私は「何をするの?」とパイプ椅子に座る。蝋燭や枝を丸く巻いた飾りもある。西洋魔術に見えなくも無い。舞子が「これ恋のおまじない?」と見ている。部長の洋子は嬉しそうに「そうです女の子といえば恋、恋と言えば男を落とすためのおまじない」また鼻をフンフン言わせて鼻息が荒い。
舞子は嬉しそうにしているが、私とかなえが静観している。「それで誰を落とすの?」かなえが聞く。舞子は恥ずかしそうにうつむく。まぁ武雄だろう。洋子はどうなのだろうか?「どんな風に使うの」と聞くと「この石が強力です」大きさはビー玉が二つ分くらいの直径がある。白いセラミックのような表面に赤い筋が通っている。嫌な予感がする。
「石に向かっておまじないをすると、彼氏と相思相愛になります」部長の洋子は断定口調で、はったりが効いている。香具師になれそう。かなえが「誰でも相思相愛になれるの?」と反応をする。舞子と私は同時にかなえを見る。「何よ」かなえが私たちを見返す。「え……好きな人が居るのかなと」舞子が驚いている。
かなえは私を見ると「誰でもいいのよね?」「………」私は黙り込む。部長の洋子は「彼氏と仲良くできます」と繰り返す。かなえは「ふーん」と言うと興味を失ったようだ。大体かなえは別におまじないを使わなくても人を呪縛できるのではないのか?この娘はやっぱりなんか怖い。
続く