オカルト研究部(4)
あらすじ
鴨川洋子は、部活動で百物語を開催する。一発目は玲子だが、普通の怪談で皆が白ける
かなえが「そんな普通の怪談で怖がれと言うの?」と辛口批評をする。私は「実体験よ、脚色すればいいの?」と怒る。舞子が「まぁまぁ、玲子はもっと怖い話を知っているかと思って拍子抜けしただけよ」私はもっと怖い話をすぐには思いつかない、大体は怖いと言うよりは、あるのが自然、それが素直な感想だ。
オカルト研究部の部長の洋子は「次はかなえさんね」みんながかなえを見る。「怖い話?そうね、私はやっぱり指を切られた事ね」彼女は小指の義指を外して見せた。「継母が私を憎んでいたのは、大きな娘を世話するのが嫌なのと、父親とセックスしてないから欲求不満だったのよ」私たち全員が息をのむ。私は「かなえ、その話は、もうそこでいいわ」と止めた。かなえは不思議そうに私を見る。
洋子が「えええっと、次は舞子さん」舞子は目を天井に上げて考える。「怖い事、怖い事なんかあるかしら?」舞子は忘れやすいのか、無限の廊下で何かが迫ってきたり、鏡の中に閉じ込められたりしても怖くないのか。「私の場合は見えないの、だから写真で確認したかった、そうね写真部の部長の敬一の写真は怖かったかも?」
敬一が死んだ姉に乗っ取られた話だ。「敬一の顔が歪んで女の人で写ってたわね」洋子が「心霊写真ね、まだあるの?」と嬉しそうだ。舞子は「ポラロイドだから1枚しかないの、敬一にあげたわ」ちょっとがっかりする洋子は、次は自分である事に気がつく。
洋子は「私の番ね、これは私が子供の頃の話よ」と声を落とす「私も最初は幽霊とか信用しなかった、でも夜寝る時に金縛りがあるの」彼女は立つと足を指さしながら「動かけなくなると必ず、そばに誰かがいるのが判る、たまに女の人とか見えるわ」フンフンと鼻をならすと自信一杯に金縛りと幽霊の持論を五分は話をした。
かなえが「それ普通にレム睡眠とかに関係する話なんじゃないの?」といきなり常識でぶった切る。あんたは自分の呪術をどう見ているのかと、突っ込みたくなる。私は「霊障とかある?」と聞く。洋子は「人が居る気配はあるわ」と言うが、それだけだと一般的な間違った睡眠状態で体が動かなくなる生理現象になりそう。洋子はゆっくりと座ると最後の一人を見つめる。
「最後は俺か?」霊能力がある武雄が手を上げた。「まず霊障だが、覚醒時に確認できる、つまり視認できる場合は本物だ」さすがに百戦錬磨の男だ。「寝ている時に感じる場合もあるが、もし霊障なら命が無い」いきなり怖い事を言い出す。「相手からの接触で、怖いのはこちらをパニックに誘導する場合だろうな、でも生者は死者よりも遙かに強い」洋子を見ながら「だから君がしっかりと意識をしている限りは安全だ」
洋子がびっくりしたような顔で武雄を見ている。「武雄君ってもっと真面目かと思ったらオカルトとか大好きなんだ」とニヤケ始めた。私はその様子を見ると違和感がある。「ねぇ、洋子さんは怖くないの?幽霊とか」と聞くと「だって幽霊が居ると楽しいってスタンスで部を作ったの、まさか科学の時代に本物が居るとか言わないわよ」と洋子はぶっちゃけ始めた。
かなえが黙って立ち上がると私の手を離す。財布を取り出すと、中から針を出した。私は恐怖する。「まって」と止めようとするが、かなえは自分の指を刺すと血を落とす。手首に巻いている紐を机に放り投げた。
血を吸った紐は即座に、小さな蛇に変化をすると洋子見つめる。かま首を上げた状態で目線を合わせている。「なんで蛇が」洋子はパイプ椅子からまた立ち上がろうとして後ろにひっくり返る。大きな音を立てて壁に後頭部を打ち付けた。
百物語はこうして終わった。洋子が頭を打ってしばらく休む事になる。洋子はオカルトオタクであって、信じているわけじゃない。今の部員で存続できるのか謎だ。
続く