オカルト研究部(3)
あらすじ
玲子達をオカルト研究部に入部した。幽霊部員のつもりだったが、鴨川洋子は、部活動を始めようとしていた。
洋子が私の机まで来ると「部活に来てね」とお願いをする。突発的なバイトが無い限りは私は暇なのだが、定常的に部活に顔を出せるか疑問だ。「かまわないけど、部活の内容は?」私はメガネをした同級生に聞いてみる。
「百物語よ」なるほど彼女は怪談話をしたいらしい。「でも最近じゃ動画サイトとかで一杯見られるわよ」インターネットが普及する前は、他人から聞いた話を記憶をして、また別の他人に手渡す。そんな泥臭い事をして、物語が微妙に変化をする、脚色もあるだろうし追加もされる。本来の怪談はそんな風に変わって行くのだろうが、今の時代では、与えられた話を消費するだけだ。洋子は「なんか動画だとつまらないのよ」似たような動画が出回ってるせい?
「私も参加したい」舞子が嬉しそうに私の机に来る。私は諦めたように「じゃあ放課後で」と伝えると洋子は心底から嬉しそうだ。
呪術を使える本物の霊能者の碇浜かなえ(いかりはま)とオカルト研究部(仮部室)に入る。かなえは今でも監視対象だし、同居している武雄の家に居てもやる事は無い。暇しているので抵抗もせずについてくる。
かなえは私の手を握る。とにかく指を絡ませてくる。恋人つなぎだ。私は抵抗する気もないし手のあたたかさは心地よい。周囲から誤解されるかもしれないが、私たちの年齢くらいならまだ遊び程度に思われる。私は粗末な備品のパイプ椅子に座るとオカルト研究部の部長(仮)の洋子は私は見ている。驚いているようだ。
「玲子さんは、女性好きなの?」誤解するだろうなとは思う「違うのよ、なんというか、まぁ友達的な意味なだけよ」洋子は不審そうに見ているが「それでは第一回 百物語です」と宣言をした。放課後なので外は明るい。洋子は「カーテンをしめましょう」と笑っている。舞子も部室に入ってくる。「暗いわね 楽しそう♪」この娘も本当に怖い系が好きだ。かなえに酷い目に遭わされてもメンタルが元から強い。
またドアが開くと天之宮武雄も入ってきた。「武雄も?」洋子が「彼も入部してくれたの」とニコニコしている。まじですか、この手の事は嫌いそうなのに。五人で会議で使うパイプ椅子に座ると誰から話すか決める事にする。洋子はトランプを出すと一から五までのカードを選んでシャッフルをした。会議用の長机に並べる。
机に並べた裏返しのトランプカードを全員が選んで、確認すれば順番を決められる。私が一番だった、何を話せばいいのか悩んだ。私は思い出す「親戚の家に泊まったの」舞子が期待した目で見る「私だけ先に祖母の家に行くことになるの、理由は……忘れたけど両親は愛優を他の親戚に会わせていたと思う」武雄は私の手を見ている「祖父は既に死去していて、祖父の趣味の釣りの道具が置いてある部屋で寝る事にして布団を敷いたの」かなえが私の手をゆっくりと握る「一人で寝るのが新鮮だった、畳敷きの部屋で寝ていると」部長の洋子がごくりと喉を鳴らす「私の寝ている顔を見ている人が居た……髪の毛は私の顔にかかっている」みんなが集中している。
「私はずっと布団をかぶって眠ったフリをしていたら本当に眠ってて朝になってた」「……」「だって当時は塩とか常備してないし、その場所は元は女中さんの部屋だったみたいね。自殺したらしいわ」かなえが「それだけ?」私は「そうよ、実体験よ」私は自慢げに語る。洋子部長は「次は誰ですか?」
続く