0-① 目覚めの記憶
なんで今書こうと思ったんだろう?まぁ気分転換に書く予定です。
ちな投稿日は未定で不定期更新です。書けたら基本月曜の17時に投稿します。
沈んでいた意識が少しづつ。少しづつ浮上していく。
どうやらあの日から10年経ったらしいかな?一応スキルの説明にはそう書いてあったけど……一体この10年で”私の体”はどんな事になってるのやら。
意識はある。でも何も見えないし体も動かせない。
だけど、風の音が聞こえるということは音は拾えているはず。
少しだけど感覚も感じるし。
と、私の口が動く感覚がした。だけど、特に私は動かそうとはしていない。恐らく、彼が何かを喋ろうとしているんだろう。状況が知りたいかな……ちょっと聞いてみよう。
『……やっとここまで来たね、あのクソ王野郎にやっと1発やり返せるよ……』
この一言で若干理解した。
あぁ、彼の目的が遂に実現に近づいたんだなって。
『これが終わったら僕は”彼女”に体を返さないと行けない。長くなったけど、バドさんもきちんと分離させてくれるらしいしね』
あれ?あの時の一人称は俺だったような気がするんだけど今は僕に変わってる?と言うよりきちんと返してくれるんだ……いや、返してもらわなくちゃ困るんだけど。
『でも、そうなったら君ともお別れだ。もうその時には僕はいなくなる。分かるよね?スーさん』
スーさん?誰だろう、でも今の言い方だと彼のことをきちんと理解した上で同行してくれてるっぽいね。いい人に出逢えたみたいで良かったよ。
『……アッハハ、そんな悲しい表情にならないで……僕だって本当は君と離れるのは嫌だったんだからさ?』
……相手が一切喋らないんだけど寡黙な子なのかな?と言うより体の感覚をよく感じてみるとかなり視線下に行ってない?そんなに小さい子なの?
『さて、そろそろ始まるはずだね、スーさんはいつもの場所に』
そう言った瞬間、頭に柔らかい何かが乗ったような感触がした。
あ、これ人じゃないわ、明らかに人外ですね~。
『いよいよここまで来たんだ、今度こそ皆を助け出す。そして僕は……!』
と、遠くから爆発のような音がした。
『……どうやら、始まったみたいだね。それじゃあ』
体から何かが抜けるような感覚がした。この感覚は知っている、魔力を消費している感覚だ。
『始めようか』
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ある冒険者の証言。
今、何かと話題になっているリグント王国。
今回、例の事件が起こる直前、門の近くにいた冒険者からとある証言を得ることに成功した。
それにはその事件を起こしたと思われる例の少女に関すると思われる単語が見つかった。
《えぇ、私も国に入ろうとね、ギルドカードだとか、魔物の討伐証明書だとかね、そういったものを出せるように準備していたわけですよ。そうしたらですね?なんだか近くの丘の上に1人の少女?少年?どっちとも取れるような容姿をした人が恐らく使役獣ですかね?のスライムと一緒にいたんですよ。はい、確か髪は短めだったような……あ、はい、そうです。かなり珍しい純粋な黒髪だったんですよ。あとは……なんだか不思議な形をした剣を持ってたかな?そんな子がずっと国を見ていた訳ですからね?私は気になって話しかけようとしたら突然、国の方で爆発が聞こえたんですよ。そしたらその子、なんて言ったと思います?『始まったみたいだね』って!何が起きるか知っていたような感じだったんですよ!それがどういうことか問い詰めようとしたらですね、突然風が吹き荒れて、はい、はい、そうです、えぇ。気がついたらその子はもう、その場にいないんですよ。え?いえ、目は離してませんでした。はい、ずっとその子を見てましたから。なのに、いつの間にか消えてしまってたんですよ!こう、パッと言う感じで!》
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