7日目 畑を作りました!
修理が終わった教会で夜を明かした。
あちこちボロが来てるのか少しすきま風があったけど、でも何とか過ごせるだけの快適さだった。
「さて」
起きた俺は今日のこれからの事について考えることにした。
「やっぱり自給自足だよね」
ここで慎ましく生きるとなるとやはり自給自足は必要だろう。
つまり何が必要か?
食べ物だ。
「とりあえず小麦を作ろう」
俺はとりあえずの目標を決めてレナに話す。
「俺はここで慎ましくこれからも生きていくつもりなんだ。その、俺はよく思われてないだろうからね」
勇者パーティを追放され役立たずと言われてしまった俺だ。
もし俺を知ってるやつと出会ってしまった場合何か言われるかもしれないしそんなこと聞きたくない。
そう思った俺はやはりここに引きこもって慎ましく生きるしかないように思う。
よし、全力で引きこもるぞ!
「小麦があればパンも作れる。そうすると食べるには困らないからね」
「小麦、ですか?」
「うん」
俺は答えて続ける。
「言っちゃ悪いけどここはかなりの辺境だと思う。周りからの支援なんてなかっただろうし自給自足の生活を送ってたと思うんだ」
そう言うと俺は教会を出て少し歩いた。
とあるものを探すためだ。
そうして荒れた土地を歩いていたら探していたものが見つかった。
「これだよ。これを探してたんだ」
「あ、荒地に見えますけど」
「でも畑だよこれは」
確かに今は荒れ果てている。
でも俺の前世の記憶が教えてくれる。
この形状は畑なのだ、と。
だが日照りで陥没してるし状態は確かによくはない。
「うーん。どうしたものか。何か案はないかな?レナ」
「ご、ごめんなさい。分かりませんね。でも耕してみるというのはどうでしよう?」
「この荒地をかい?そうだねゴブリンにやらせてみるのもいいけど」
俺は力仕事が出来ないし、したくない。
そういうところはゴブリンに任せたいと思うけど。
任せ切りなのは嫌だな。
そう思った俺は
「ジョブチェンジ」
ジョブ一覧を開いてみた。何かいいジョブはないだろうか。
───────
→時魔道士
───────
良さそうなのが見つかった。
時魔道士にジョブチェンジすると技リストを見て見た。
───────
→ストップ
───────
技説明を見てみるとストップはどうやら時を一時的に止める魔法のようだ。
今のところこれしか使えないみたい。
「うーん。多分時魔道士はジョブのレベルを上げると使える技が増えると思うんだけど」
他のジョブでもそういうギミックがあった。
だから
「よし。とりあえずいつも通り素振りするか」
素振りが終わり、時魔道士のマスターが終わった。
ちなみに夕方になっていた。
【時魔道士をマスターしました。すっぴんに時魔道士の特性が継承されます】
───────
名前:シアン
ジョブ:すっぴん
レベル:20
固有スキル:ジョブチェンジ
汎用スキル:
・騎士の誇りEX
・召喚士のカリスマEX
・賢者の知恵EX
・テイマーの慈愛EX
・時を操る者EX
───────
───────
・時を操る者EX
貴方は時の全てを理解した。全ての時間が貴方の物になる。時魔法の消費魔力が減少する。更に時魔法を使用した後の世界をその目で予め見ることが出来る。このスキルの所持者とその周りの存在には時魔法の効果が及ばない。
───────
「おおう……。説明文がカッコイイな」
そう呟いて俺はとりあえず何が出来るのかコマンドリストを見てみることにした。
───────
→ストップ
・リターン
───────
俺はいくつかある中のリターンに目をやった。
どうやらこのリターンという魔法。
対象の時を戻す魔法らしい。
「そうなんだよ。こういう魔法を使えばいいんだよね」
俺はリターンという魔法を使い、この畑をターゲットに選ぶ。
そして
「リターン」
俺が唱えると魔法が発動した。
すると
「わぁっ!畑が元の姿に戻りました?!」
レナが叫んでいる通り畑は前の姿に戻っている。
そしてそれだけじゃない。
「わぁ!これなんですか?!何か育ってますよ?!」
畑には茶色の植物、小麦が出来ていた。
茶色1色。
「どうやらこの畑では小麦が作られていたようだね」
俺は丁度収穫する前の状態で戻した。
スキルの効果で結果は見えていたのでどの程度戻せばいいのかも分かっていた。
でも
「夕方になっちゃったね。俺の素振りのせいだ」
「は、はい。今日のところは終わりに……」
何やらレナが言いかけていたが俺はまだ余裕があったのでもう一度リターンを使う。
「リターン」
ターゲットはこの世界だ。
瞬間。
目が回るような感覚に襲われたと思ったらピカーっと真上から太陽が俺たちを照らす。
うん。今日の昼に戻ったようだ。
一応確認してみたが俺の素振りの成果は消えていないし目の前の麦畑もそのままだった。
良かったぁ。
「ん?どうしたの?レナ?」
俺の隣にいるレナは呆気にとられたようにポカーンと口を開いていたが、やがて俺を見て
「な、何やってんですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」
俺に詰め寄ってくるレナ。
「あれ、俺怒られてる?何かやっちゃったかな?」
「お、怒ってますよ?!何してくれてるんですか?!」
「あ、ご、ごめん。そう言えばレナは朝から付き合ってくれてたよね。なら朝まで戻した方が良かったか」
反省する。
朝まで戻すべきだった、と。
「ち、違いますよ?!そこに怒ってるんじゃないですよ?!というより朝まで戻せるんですか?!」
「え、戻せるけど」
実際に俺の目でリターンを使えばかなり前まで戻せることが分かっている。
「あ、あのですね。いいですか?!」
「あ、はい」
あ、これはマジトーンで怒ってるやつだ。
正座する。
「あ、あのですね?!時魔法を世界そのものに使って世界の時間をいじることは禁じられているんです!知らないんですか?!そ、そもそもですね!時魔法の対象に出来るのは、本来モンスター1匹とかですよ?!それを畑に使える時点で魔力が強すぎるんです!」
「だって教えてもらってないし」
「そ、それはですね?!こんな馬鹿げた事そもそも出来る人が存在しないから暗黙の了解になってたんです!これからは自重して下さいね?!こんなことしてたらいつか世界の時間がめちゃくちゃになって大変なことになりますよ?!」
「は、はい」
分かりました。
これからは自重します。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
少しでも面白い、面白そうと思っていただけたらブックマークをして頂けるととても励みになります。
ここから少し下にスクロールしたところに広告がありその下に☆☆☆☆☆という評価項目がありこの作品の応援もできます。
なのでそこからも応援していただけると励みになります。
よろしければよろしくおねがいします。