5日目 召喚士の限界を超えてしまいました!
よし!
新たなジョブをマスターした!
昨日の夜からずっとテイムコマンドを連打していた。
勿論全て不発に終わった。
【テイマーをマスターしました。すっぴんにテイマーの特性が継承されます】
───────
名前:シアン
ジョブ:すっぴん
レベル:20
固有スキル:ジョブチェンジ
汎用スキル:
・騎士の誇りEX
・召喚士のカリスマEX
・賢者の知恵EX
・テイマーの慈愛EX
───────
───────
・テイマーの慈愛EX
貴方は聖母のような優しさを手に入れました。
テイム可能な対象が大幅に増加。
───────
「やった!新しいスキルゲット!次にコマンドリストも見てみよう」
───────
・召喚
・カウンター
・守る
・庇う
・ホーリー
・メテオ
・テイム
───────
コマンドも増えてる!
やはり俺がこのジョブをマスターすればするほどこのジョブ、すっぴんは強くなるらしい。
前世の俺が言っていた事。
『すっぴん強すぎ。時間かかるけどやっぱ最強のジョブだな』
この言葉の意味が少し理解出来た。
でも
「本当に時間かかりすぎだよなぁ。素振りすればいつかはマスター出来るとはいえ時間がかかりすぎだ」
そう思いながらとりあえず俺はレナと歩いていた。
更には隣にはドラも一緒だ。
姫を守る騎士のようにノッシノッシと歩いて付いてきてくれる。
ちなみに奴隷商人はドラが食べてしまった。
「あ、鳥さんですー」
初めはドラが付いてくることに戸惑っていたレナだが慣れたようで森にいた兎に今度は目を輝かせていた。
そして
「えい!テイムです!」
鳥をテイムする彼女。
「やった!テイムできました!」
俺にそうやって報告してくるレナに微笑む。
やはり少女の笑顔はいいものだ、とそう思う。
「レナはテイマーなんだね」
「はい。私はテイマーです。こうやって動物さんと仲良くなって生活するんです」
「動物はいいよね」
そう言いながらドラの顎を撫でてやる。
気持ちよさそうに目を閉じるドラ。
「あ、あのドラさんはやっぱりテイムしたのですか?」
「いや、ドラは召喚したよ。だから召喚モンスターになるのかな?」
「がうっ」
答えるドラ。
俺たちの言葉が分かるのだろうか?
「え?!ドラゴンを召喚したのですか?!」
「え?う、うん」
何だ?今の反応。
凄く驚いている。
「あ、ごめん。ドラゴンの召喚ってもしかして初級レベルなのかな?そんな弱いモンスターをわざわざ召喚したことを馬鹿にしてるのならごめん」
「がうー……」
ドラも隣で頭を下げている。
どうやら弱い自覚があってその弱さを申し訳なく思っているのかもしれない。
「ドラ。気にするなよ俺が弱いのがいけないんだ。もっとドラを強くしてやるから」
「が、がう」
そう言うとドラは少し元気を取り戻したように笑顔になった。
そしてそれを見ていたレナが叫ぶ。
「え、えぇぇぇぇぇぇ?!!!!!ぎゃ、逆ですよ?!シアン様?!」
「え?ど、どういうこと?も、もしかして俺が弱いんじゃなくてドラが弱いってこと?でもドラは俺のペットだからセーフだよ」
ペットなんて可愛かったら何でもいいんだ。
そう思いながら答える。
「ち、違いますよ!シアン様!Sランク召喚士でも召喚出来るのはビッグボアまでと言われています。しかも召喚できるのはせいぜい30秒が限界なんですよ?!そ、それをドラゴンを召喚してこんなに維持出来るなんて凄過ぎますよ?!こ、こんなの召喚士の限界を超えていますよ!」
「え?そうなの?」
俺は召喚士の事についてはそれほど詳しくないし前世の記憶でもその辺はあまり思い出せない。
何だ、そうだったのか。
「それより、着いたよ」
ゴブリン鉱山と呼ばれているらしい鉱山に付いた。
今日はこの鉱山に鉱石を拾いに来た。
薄暗い入口から中に入ると
「ギィ?」
突然ゴブリンに出会ってしまった。
「ひ、ひぃぃ!!!ゴブリンです!!」
俺の後ろに隠れるレナ。
どうやら戦うしかないようだ。
そう思った俺はコマンドリストを開いた。
すると
「ん?」
───────
→テイム
───────
まさかのテイムコマンドが選択可能だった。
あれ?テイムって基本的にモンスターは出来ないって聞いたことがあるんだが、そう思いながら押してみた。
すると
【何をテイムしますか?】
───────
→ゴブリン
───────
そう出てきたのでとりあえずポチッ。
すると
【ゴブリンのテイムに成功しました】
と、ウィンドウが現れた。
「え?!できるの?!」
意外だった。モンスターは出来ないって聞いてたけど普通に出来たから。
それを見たレナが口を開いた。
「え?!ゴブリンってテイム出来るのですか?!」
「え、うん。何故か出来ちゃった」
「も、モンスターのテイムはSランクテイマーでも無理だって言われてるんですよ?!」
「え、でもできちゃった」
「て、テイマーの限界を超えてますよ?!これ!」
うーん。そうなのかなぁ?
俺も出来るとは思ってなかったけど。
限界を超えてるんだろうか?
まぁいいや。
「先に進もうよ。この先の鉱石が必要だしね」
そう言って俺はレナを連れて更に奥へ向かう。
その道中10匹程のゴブリンの集団と出会った。
「テイム!」
俺はまたテイムした。
モンスターを殺しに来たわけじゃないしね。
平和的に解決出来るならこれでいい。
【ゴブリンのテイムに成功しました】
【ゴブリンのテイムに成功しました】
ズラーっと出てくるウィンドウ。
全て俺のテイムの成功を示すものだった。
それを見てまた口を開くレナ。
「な、何匹テイムするつもりなのですか?!」
「え?だめなの?」
え、テイマーって何匹もテイムしちゃだめなんだろうか?
「お、おかしいですよ!こんなの!」
「え?何が?もしかしてテイムする数って定石があるの?」
「あ、ありませんけど、普通テイムは一匹が限界なんですよ?!何匹テイムできるんですか?!こんなことできる人聞いたことがありませんし、初めて見ましたよ?!」
そう叫ぶレナだった。