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15日目 あの、魔王様が離れてくれません、助けて

 話術士をマスターした。


───────

名前:シアン

ジョブ:すっぴん

レベル:20

固有スキル:ジョブチェンジ

汎用スキル:

・騎士の誇りEX

・召喚士のカリスマEX

・賢者の知恵EX

・テイマーの慈愛EX

・時を操る者EX

・建築士の魂EX

・竜騎士の誓いEX

・聖者の祈りEX

・選ばれし勇者EX

・空間の旅人EX

・巧妙な話術EX

───────

───────

・巧妙な話術EX

貴方の話術は神域へと達成した。

話し相手は思わず貴方に従いたくなるような話し方ができる。相手のあなたへの好感度の上がり方が大幅に上がる。

───────


 ほんとかよ?

 そう思いながら俺は王城を飛び出して湖のほとりに座っていた。

 今日もいい天気。


 隣ではドラが日向ぼっこしてる。

 そんな長閑な日曜日を今日も楽しんでいた時だった。


「おーい」


 村の外から女の声が聞こえる。


「誰かいないのか?!」


 すぐそう続ける誰か。

 誰だか知らないけどちょっとくらい待てないのかと思いながら俺は村の外に通じる門を開けた。


「何?」


 そこに立っていたのは金色の髪の毛をツインテールにした少女だった。


「な、何だ今の素晴らしい音色は……」

「え?」

「今、え?って言ったのか?何だこの凄い音色は」

「いや、だからさ」

「私は今お前の言葉に世界の全てを見た。お前の声をずっと聞いていたい」


 これ、もしかして話術士の効果か?

 凄すぎだろ?


「もっとその声を聞かせよ」

「あ、え?」

「気に入った。私を嫁にしてくれ」

「は?!」


 急展開過ぎて変な声が出てしまった。

 ここまで1分も経っていないのだから。


「どんなプレイだってするぞ、嫁にしてくれ」

「何の話だよ」

「ま、待て!私を置いていかないでくれ!私にはお前がいないとだめなんだ!」


 俺の裾を掴んでくる女。

 流石に効果がヤバすぎないか?


 この効果切れないのか?

 試してみたけど。

 だめだ。切れない。


 仕方ない。ジョブチェンジで【侍】になった。

 だが


「よし。決めたぞ。私は今日からお前の横で寝る。名前を教えてくれ素敵な人間よ」


 一切変わらない。一度上がった好感度とやらは簡単に下がらないらしい。

 もうどうにでもなってくれ。


「し、シアンだけど」

「し、シアンだって?!なんて素敵な名前なんだ!こんな素敵な名前見たことも聞いたこともない!」


 そう言った後に少女はズカズカと俺の脇を通って村の中に入る。

 この人はまだ俺の裾を掴んでいて俺はそれに引っ張られるように中に入る。


「どうした?早く来るのだお前は私の夫だろう?」


 この人何でこんなに偉そうなんだ?


「ところであんた誰なんだ?」

「私はカリン。魔王だ。世界の半分、いや1つでも2つでも3つでも世界をくれてやるぞ。私は世界にお前がいてくれるだけでいいのだ」


 もじもじしながらそう言ってくる魔王。

 こ、この人が魔王なのか?


 俺たちが倒そうとしていた?

 でも今の俺は勇者パーティでもないし無職だし関係ないか。


 普通なら目の前に魔王がいるんだから倒せ!と言われそうだけど俺はもう関係ないので知りません。


「新婚旅行は何処へ行く?」


 気が早すぎるだろう魔王様。


 それにしても話術士すごいな。

 俺殆ど話してないのにこれだもん。


「シアンは何が好きだ?毎日好きな料理を出してやるぞ」

「魔王様って料理出来るの?」

「したことは無いがお前のためならやるぞ」

「それより魔王様なら魔王城とやらに戻った方がよくないか?」


 こんな辺境にいるより戻った方がいいだろ?

 魔王が隣にいるなんて恐ろしいし。


「問題ない。私は今魔王とやらよりよっぽど重要な職務を見つけた。───────お前の嫁という職務をな」


 大切なことのように話しているが、無職の嫁なんて世界一要らない職務だろそれ。

 そんなことを思っていたら


「ま、魔王様?!」


 ナナが近寄ってきた。


「む、誰だお前」

「だ、ダークエルフのナナと申します」

「そうか」


 特に気にせず俺に目を戻すカリン。

 しかしナナの方はカリンに目をやり続ける。


「ま、魔王様、お言葉ですが何故こんなところへ?貴方は魔王城にいるべきでしょう?」

「今の私にシアンの隣にいるということ以上にすべきことなどない。それ以上に大切なことなどこの世界に存在しない」


 カリンがそう言ったらナナが頭に稲妻が落ちたような顔をした。


「ちょ、ちょっと、シアン?!どうして?わ、私がいるじゃない?!」

「え?だ、だから知らないよ?!」


 俺ほんとに何も知らないよ?!

 何なのこの状況?!


「私はお前に嫁が何人いようと構わぬぞ」


 そう言って腕にギューっとしがみついて来るカリン。


「私は世界一素晴らしいお前の横にいられればそれでいいのだ」

「ちょ、ちょっと!シアン?!何をしたの?!」

「え、だから俺何も知らないから」


 ただ口を開いただけで今の状況があって。どうしようもないんだけど。


「ま、魔王様は鉄の女と呼ばれるくらい慈悲のないお方なんですよ?!その人がどうしてこんなことに……」

「私はシアンの横ではマシュマロのような女だ♡今日は寝かさないでくれ」

「ちょ、ちょっと?!どうなってるの?!」


 俺が聞きたいくらいだけどなんだけどな


「ちょ、ちょっと?!シアン?!もう!!!!私も真似する!」


 そう言ってナナも逆サイドの俺の腕にしがみついてきた。

 何なんだこの状況は。


 その後、寝るまでカリンは俺の傍を離れなかった。


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