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12日目 聖者と勇者をマスターしました

「シアン♡」


 何故か昨日の1件以来俺に抱きついてくるようになったナナ。


「昨日のシアンすごくかっこよかった。ありがとう助けてくれて」

「お、おう」


 変態だのなんだのと罵倒していたのが嘘のようだ。

 そして


「お、おいあのナナちゃんが誰かにべったりしてるぞ」

「ほ、ほんとだ。やっぱりシアンさんはすげぇな。あのナナちゃんをあそこまで骨抜きにしちまうなんて」


 俺たちを見ながらそうやってダークエルフ達が話している。

 話を聞く限りナナがこうやっているのは凄い珍しいことらしいが。

 本人は聞こえていないらしい。


「ねぇ、シアン。好きだよ♡」

「お、おう」


 何これ?俺騙されてる?

 変態だのどうの罵倒されたと思ったらいきなり好きって?


「シアン愛してる♡」


 と、昨日からずっとこんな感じだ。

 どうしたというのだろう?


 しかし俺としては美少女にこうやってべったりされるのは悪い気はしない。

 何故かは分からないけど良しとしよう。


 まぁ騙されていてもいいや。

 今が良ければそれでいい。


 そう思いながら俺は昨日から繰り返していた最後の素振りを終える。


「よし素振り終わったな」

「私たちの愛の結晶だよね♡」


 何やら言っているナナの横で俺はステータスを開いた。


【聖者をマスターしました】


 聖者をマスターしたのは支援魔法を使えるようになっておきたかったからだ。

 もし、モンスターが攻めてきても皆を支援して戦えるようにしたかったから。

 今の俺は無職でなんにもできないからそれくらいはね。


───────

名前:シアン

ジョブ:すっぴん

レベル:20

固有スキル:ジョブチェンジ

汎用スキル:

・騎士の誇りEX

・召喚士のカリスマEX

・賢者の知恵EX

・テイマーの慈愛EX

・時を操る者EX

・建築士の魂EX

・竜騎士の誓いEX

・聖者の祈りEX

───────

───────

・聖者の祈りEX

貴方は聖者として神に祈りを捧げる。

祈りは全てに届く。

魔法を使った時の効果範囲が大幅に増加する。

───────


 次は何をマスターしようかなぁ。

 そう思ってジョブ一覧に目をやろうとしたその時。


「ぶべっ!!」


 村を走り回っていたダークエルフの子供がこけていた。


「うえぇぇぇぇぇん」


 俺は近くによって魔法を使う。

 対象は子供だけにしたつもりだった。


「ヒール」


 しかし俺の視界に映った全ての人が緑色の光に包まれていた。


「ありがとう、シアンさん!」


 子供はまた走り出していった。

 すごいぞ聖者。


「た、ただのヒールであんな広範囲を回復できるの?魔王軍にもあんなことできる人いないのに!流石シアンだね!」


 ナナに返事をしようかなって思っていたけど興味深いものを開いていたジョブ一覧のウィンドウの中から見つけた。


「ん?」

「どうしたの?シアン?」


 俺の反応を見たのかナナが聞いてくる。


───────

→勇者

───────


 賢者も聖者もそうだけど勇者にまでなれるんだこのジョブ。

 これ、マスターしてみようかな。


「ジョブチェンジ」


【勇者にジョブチェンジしました。次のレベルまで2500】


「に、にせん?!」


 そう叫んだが数字は変わらない。

 仕方ないな。


「ナナ。悪いが俺はやる事がある」

「やる事?」

「夕飯には戻るから」


 そう言い残して俺は村の外に出た。

 草原の上で木の剣を構えた。


 狙うは岩。

 ガン!


 切れはしないけどポイントを確認する。


「次のレベルまで2490か」


 仕方ない。

 前みたいにひたすら振り続けよう。


 それにこのジョブにはそれだけの価値がある気がする。

 勇者と言えばその肩書きでやりたい放題できる。


 尤もそこまでやりたい放題するつもりはないけど皆から1目置かれる存在になれるはずだ。


 ということで


 ガン!ガン!ガン!ガン!


 ひたすら岩を殴り続けた。


【累計ポイント10,000ポイント獲得しました。勇者をマスターしました。勇者の特性がすっぴんに継承されます】


「疲れたぁ!」


 どさりと後ろ向きに倒れた。

 久しぶりにこれだけ振り続けたから流石に疲れた。

 でも


───────

名前:シアン

ジョブ:すっぴん

レベル:20

固有スキル:ジョブチェンジ

汎用スキル:

・騎士の誇りEX

・召喚士のカリスマEX

・賢者の知恵EX

・テイマーの慈愛EX

・時を操る者EX

・建築士の魂EX

・竜騎士の誓いEX

・聖者の祈りEX

・選ばれし勇者EX

───────

───────

・選ばれし勇者EX

貴方は勇者に選ばれた。

人々の願いを背負う存在。

魔王に抗う力を得る。

魔王軍から受けるダメージを1/10にする。

───────


「えぇ?!こんなに軽減してくれるの?!まぁ、俺は知らないんですけどね」


 世界の運命とか魔王軍とか人間軍とか知らない。

 俺は無職なので。


 無職らしく世界が終わるまで引きこもります。


 そう思いながらまだ時間が少しあったので適当に素振りをしようかと思ってジョブ一覧に目を通した。


───────

→空間魔導士

───────


「そうだね。時魔道士はマスターしてるしこっちもマスターしとこうかな。時空を操れるなんて面白そう!」


 どうせ俺はこれからも毎日休みで膨大な時間がある。

 このまま全ジョブマスターするのも面白そうだ。


 最弱と呼ばれたすっぴんから最強を目指せるんじゃないか?!


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