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10日目 戦い方が分かりません

「というわけで戦うことになってしまった」


 俺は起きたことをレナに話していた。


「あ、そうなのですね。でもシアン様なら勝てるのでは?」


 そう言われるがそこが悩みなのだ。


「俺は多分勝てないと思う」

「な、何故ですか?あんな素晴らしい時魔法や様々な魔法を使えるじゃないですか?あんな強い魔法を使われては誰も太刀打ち出来ませんよ?」

「それなんだが俺は戦い方が分からない」


 シーン。

 あれ?


 俺の言葉でレナがポカーンと口を開けて黙ってしまった。


「何か変なこと言ったか?俺」

「あ、あの、た、戦い方が分からないと聞こえましたが」

「うん。分からない」


 俺がそう答えると


「え、えぇぇぇぇぇぇぇぇ?!!!!戦い方が分からないんですか?!」

「恥ずかしい話したけど分からないんだよね」


 そう答える。


「な?!ど、どうして分からないんですか?!」

「俺はまともに戦ったことがないからだよ」


 勇者パーティに所属していた時俺は大体薬師になっていた。

 ヒールを担当するジョブだ。

 だから


「戦い方が分からないんだ。勿論武器も握れないし握ったことがない」

「え?!えぇぇぇぇぇぇぇ?!!!!武器の握り方なんて常識ですよ?!」

「すまない。その常識が分からないんだ。教えて貰えないか?」

「こ、こんなもの教えるとかそういう話ではないですよ?!」

「そ、そうなのか」


 しょぼーん。

 教えるとかそういうレベルじゃないんだ。


 ならどうしよう?


「俺が勝てないとあの2つの丘をもう拝めなくなる。それだけは避けたい」

「2つの丘?」


 あのデカさレナの数倍はある。

 そんなものを拝めなくなるのは男としてあれだろう。


「レナにはない2つの丘だ」

「?よ、よく分かりませんが大変なようですね」

「うん。大変なんだ。だから知恵を貸してほしい」

「そ、そういう事なのでしたら1ついい案がありますよ」

「どういう案なんだ?」


 俺は聞き入る。

 勝つためならどんなことだって厭わないつもりだ。


「時魔法のストップを使うんです。世界を対象に使えるんでしたら人の1人くらい簡単に止められるんではないでしょうか?もう止めた時点で勝ちですよ」


 そう言われて俺はナナを止めた時のことを考える。


「な、何故そこで鼻血を?」

「最近暑いからね」


 停止ものか。悪くない。

 あの生意気なメスガキを止めて俺が好き勝手にしていることを考えたら興奮してしまったのだがそんなこと言えるわけもない。


「まぁ、暑いですよねぇ」

「よし。俺が時魔法で止めて勝利を確定させよう」


 方針は決まった。

 後はヤルだけだ。


「あ、あのシアン様勝ってくださいね?私のシアン様が負ける姿なんて見たくないのです」


 そう言って俺の背中から抱きついてきたレナ。


「ふっ。任せておけ」


 俺は勝つ。

 勝ってあれをこれから毎日拝むのだ。


 そしていつしか手に入れる。

 俺は欲望のままに動くのだから。


 そうして俺は指定した決闘場所にやってきた。

 俺たちは2人で睨み合っていた。


「やっときたわね。変態」

「その生意気な口直ぐに閉じさせてやるよメスガキが」

「はっ。やっと本性を表したわねドクズ変態」

「そう言ってられるのも今のうちだ。お前は今日の夜には『シアン様のグングニル最高ですぅぅぅぅ!!!!』って叫んでるからな」

「絶対ないから。黙りなさいシメジ」


 カッチーン。

 ムカつくけどとりあえず試合開始を待とう。

 そうして待っていたら試合開始の合図。


「ストップ」


 俺はナナが動く前に魔法ストップを使った。


「なっ?!」

「す、ストップだって?!」


 周りがザワつく中俺は止まっているナナに近付くと。体を掴んでフィールド上に連れ出した。

 そして


「解除」


 俺は時間停止を解除。


「しょ、勝者シアン!」


 審判役のダークエルフの声。

 それを聞いて戸惑うナナ。


「え?……な、何が起きたの?」


 何が起きたのかすら分からないらしい。

 そんな彼女に説明する審判


「え?ストップ?そ、そんな!ま、待って!ストップは私達ダークエルフに効かないはずなのに!」


 ナナがそう否定したがっているが審判役が口を開いた。


「シアンさんの魔力がそれだけ高いということだろう。ナナお前の負けだ」

「そ、そんな……」


 膝を着くナナ。

 何だか哀れになってきて俺もしゃがみこんで声をかける。


「とにかく、怪我はなかったようで良かったよ」

「あ、あんた、もしかして私が怪我しないように、ストップで?」

「まぁね」


 本当は戦い方が分からないから魔法でゴリ押しただけだが話を拗れさせるのも面倒だ。


「そ……その怪我させなかったのは感謝してあげる」


 お?まさかデレてる?


「わ、分かったわよ。私は負けた。今夜あなたのところにいく。何だってするわよ」


 その言葉を聞いてニヤリと笑う。


「分かったよ。ちゃんと来なよ?」

「え、えぇ、分かってるわ。それから変態とか言ってごめんなさい。シアンさん」


 さん付けするようになったか。いい変化だ。

 どっちが偉いかを理解したらしい。


「ちゃんと来るんだよ?」


 改めてそう言って俺は先に教会に向かうことにした。

 とりあえずダークエルフ達にはそこらの空き家を使うように言ってある。


 さて、夜に備えようかな。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 勇者パーティには聖女がいるのに薬師になってヒールしてたらそりゃ役立たずと言われて追い出されても仕方がないのでは?
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