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1日目 追放され無職になったのでやけ酒です

 とある村にて


「シアン。お前を追放する」


 18歳の俺シアンは今日の依頼も終わり酒場で夕食を摂っていたところ勇者パーティのリーダーであるサトシにそう言われていた。


「つ、追放?俺を?」

「あぁ。お前は使えない」


 そう言われた。


「え、冗談だろ?」

「冗談ではない。お前は使えなさすぎる」


 そう言われて何も言い返す事は出来なかった。


「そうよね。【無職】だものね。あんたは」


 と、聖女のイリーナに言われた。


「ち、違う。俺はちゃんとジョブチェンジを……」


 俺は自分のやっていることを説明しようとした。

 そもそも俺は無職じゃない。【すっぴん】なだけだ。


 すっぴんというものはジョブそのものが弱いが、代わりに与えられた専用スキルのジョブチェンジを利用して色んなジョブになって戦うジョブだ。

 しかしそのジョブチェンジでなったジョブはスキルが弱かったりしていろんな面で弱い。だから実質無職と呼ばれている。


「それが要らないと言われているのですよ」


 と、賢者のトオルに言われた。


「な、どうして?」

「どうしても何もお前が弱すぎるという意味だよシアン」


 冷たい眼差しで俺を見てくるサトシ。


「そ、そんな。俺だって頑張ってるんだよ」

「頑張れば魔王に勝てるのか?無理だろう?」


 そう言われては確かに何も言い返せない。


「うっ……」


 俺は言い返せずにそのまま俯いてしまった。


「さっさと出ていってくれないか?お前なんてもう要らないんだよシアン」

「そうよ。何にもできないゴミ虫が私と同じ空気を吸わないでくれる?」


 サトシもイリーナも酷いことを言ってくる。

 まるで、もう俺なんて本当にどうでもいいようだ。


「わ、分かったよ」


 俺は立ち上がった。

 何よりもずっと仲間だと思っていた奴らがこんなことを思っていたのが一番ショックだった。


「もう二度と面を見せるなよシアン。お前の顔はもう見たくないよ。弱すぎてさ」

「ちょっとサトシー。そこまで言っちゃうとシアン泣いちゃうよ」


 最後に勇者のサトシに笑いながらそう言われて俺はこの店を後にした。



 くそ!

 ギルドにやってきた。


「ご注文は?」


 そう聞いてくるウェイターに金貨を1枚突きつけて口にした。


「これで持ってこれるだけ酒を持ってきてくれ」


 苦笑いを浮かべたウェイター。

 もう知らん。

 どうにでもなれ。


 今は兎に角飲んで寝て、忘れたい。

 そんな気分だった俺は持ってきてもらった酒にスグ手をつけた。

 くそ!


「やってらんねぇ……」


 久しぶりに飲む酒だが。程よく酔いが回ってきたな。

 フラフラしてきた。


「あぁ……頭いてぇ」


 その時だった。


「うぐっ!」


 何だ?これ?今何か思い出そうとした?

 そう思った瞬間に次の頭痛。


 何かが頭をよぎる。

 というより


「あぁっ……」


 何かが頭に流れ込んできた。

 それは記憶だった。


「こ、これは……」


 ろくに呂律が回らないが呟いてみた。

 間違いない。


 今のは俺の前世か?


 聞いたことがある。

 輪廻転生。人は死んでもまた別の何かに生まれ変わるって。

 俺は生まれ変わっているのか?


「前世の俺ってどんな奴だったんだろ」


 ただ、何となく気になった俺はさっきの店員を呼ぶ。

 そして金貨を1枚。


「酔いを直す薬をくれ」

「は、はい。ですが宜しいのですか?ま、まだ酒が余っているようですが」

「いぃんだよ」


 俺がそう言うとすぐに薬を持ってきてくれた。

 それを飲んで酔いを覚ます。


 大丈夫だ。

 前世の記憶は残ったままだった。


「なになに?」


 記憶を掘り起こしてみる。

 先ず、科学都市と呼ばれる場所で育った俺。

 会社という場所に毎日通っていた俺。


 でも、そこはとんでもないブラックで潰された俺。

 毎日ろくに寝れずに家と会社を往復していた。

 しかし、その疲れが出たのか俺は交通事故で死んだ。

 というのが前世の出来事らしい。


「必死に頑張ったのにな。前世の俺も」


 どうやら毎日毎日今の俺と同じように偉い奴に頭を下げて働いていたらしい。

 ご苦労なこった。


 そしてその果てに過労で交通事故にあってしまうなんてな。


「はぁ……」


 でも、それは今の俺もそうか。

 このまま冒険者をやめてしまうとなると同じような結末になってしまうかもしれない。


「嫌だよなぁ、つまんねぇよな。そんなの」


 そう呟いて何かないかなと記憶を漁っていると。


「ん?ゲーム?」


 前世の俺はゲームというもので遊んでいたらしい。

 子供の頃、だけど。


「へー。ゲーム、ねぇ」


 記憶の中の俺はゲームとやらで遊んでいた。

 そうしながら呟いていた。


「すっぴん強!強すぎ!時間はすごくかかるけど最強すぎ!」


 そんな言葉だった。

 ん?


「すっぴんって俺のジョブも、そうだよな?」


 そう言いながら


「ステータスオープン」


 ステータスを開けてみた。

 細かいステータスまでは今は見なくていいか。


───────

名前:シアン

ジョブ:すっぴん

レベル:20

固有スキル:ジョブチェンジ

───────


 となっていた。

 間違いない恐らくこのすっぴんの事を言ってるんだと思う。


「ははっすっぴんが強いなんて有り得ねぇだろ」


 笑いながらそう言ってみたが記憶の中の俺はゲームですっぴんだけを使っていた。


 そして何よりも驚いたのが


───────

体力:999,999

魔力:999,999

素早さ:999,999

防御力:999,999

攻撃力:999,999

───────


 となっていたことだった。


「う、そだろ?何だこの数値?」


 有り得ない。何だこの数値。

 そう思いもう少し記憶を探した。


「先ずマスターするのはナイトかな?これがあれば問題なさそう」


 記憶の中の俺はそう言っていた。

 ナイトはともかく


「マスター?」


 そんな疑問があった。

 何だマスターって?


 駄目だ。そこまではうまく思い出せない。

 でも、俺は前世の俺がやっているようにスキルウィンドウを表示していく。


【どのジョブにチェンジしますか?】


 記憶通りの操作をするといつものウィンドウが出てきた。

 すっぴんの固有スキルであるジョブチェンジは他のジョブになれるというものだ。


───────

→ナイト

・狩人

・竜騎士

・モンク

───────


 色々並んでいたが前世の俺が選んでいたナイトを選択。


【ナイトにジョブチェンジしました】


 そう出て俺のステータスがナイト用に変わった。


───────

名前:シアン

ジョブ:ナイト

レベル:20

固有スキル:ジョブチェンジ

───────


 とは言っても何が変わるってジョブ名がナイトに変わるくらいだけど。

 後は技がナイトのものに変わる。


 今までと同じだった。


「何が強いんだ?このジョブの」


 そう思う。

 すっぴんの強みは自由に色んなジョブになれるところ。

 でもそうやって色んなジョブになったところで全部半端になってしまうから意味がなくて弱いって言われている。


「分からないな」


 そう思いながらも俺はステータスのジョブ、ナイトの項目を記憶にあったように押してみた。

 するとまたウィンドウが出てきた。


【ナイト、次のレベルまで10ポイント】




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― 新着の感想 ―
[一言] え?最初はモンクじゃないの?! 第1世界なら下手に武器持つより格闘でどうにかなるし
[一言] 最後は忍者忍者賢者賢者からすっぴんすっぴんすっぴんすっぴんでしたよねw
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