21 貴族の護衛
「さて、今日の依頼はっと。」
自分たちが受けられる依頼はあるか、廉は掲示板を眺めていた。
「どお? あった?」
しばらく探していると一緒に見ていた愛が話しかけてきた。
「うーん。いくつか良さげなのはあったけど......」
「そっか。アリンに聞いてみる?」
廉たちでは判断しかねたので仲間のSランク冒険者に聞くことにした。
「僕達でも出来そうな依頼が五つあったけどどれがいいか僕にはわからんかったからアリンちに教えてほしい。」
「そうだね……これなんかどうかな。」
アリンが指したのは貴族の護衛依頼だった。
「これだったらレンたちでも出来そうだし、それと貴族に気に入られれば今後活動しやすいからね。」
「私もこの依頼が一番いいと思います。初心者の方はこういう依頼を受けていますよ。」
アリンとメイの二人に勧められて廉達はこの依頼を受けることにした。
「はい。護衛依頼ですね。今回の依頼はゼヘラザード家の護衛です。内容は彼らが宿泊している所から屋敷に着くまでの護衛をしてほしいとのことです。」
「ゼヘラザード家かぁ。困ったなぁ。」
依頼内容を確認するとアリンが難色を示した。
「何か問題でもあった?」
「依頼は問題ないんだけど、依頼主が冒険者嫌いなの。嫌がらせされるかもだけど大丈夫?」
廉と愛は顔を見合わせた。てっきり、依頼のことで文句を言われると思っていたからだ。
「僕は大丈夫だけど……みんなはどうかな?」
四人は静かに頷いた。
「じゃあ、護衛の依頼を受けよう。お姉さんお願いします。」
「はい。かしこまりました。」
護衛対象は『銀翼の飛竜』にいるとのことだったので廉達はそこに向かった。
「ここかな、アリン?」
「合ってるよ。あとは、依頼人だけど……「君たちか! 俺を護衛してくれるのは。」ッ!」
元気ハツラツな感じで話しかけてきたのは、ロウグ・ゼヘラザードだった。彼こそが今回の依頼人だ。
「この人が依頼人?」
「ちょっ! レン、失礼だよ。」
廉の話し方が貴族に対する態度ではないとアリンに咎められた。
「あははッ! 気にしなくていいよ。君は面白い人だね。君たちが護衛で良かったよ。」
「はぁ……ところでゼヘラザード家の護衛は評判が悪いと聞いたのですが本当ですか?」
「レン!」
貴族相手にズバズバと切り込む廉にアリンは語気を強めた。
「そうか。ギルドにまで噂が広まっていたか……その件はすまない。うちの弟が失礼なことをした。この通りだ。」
「いえ、気になさらないでください。あなたのせいではありませんから。」
ロウグは己の弟が犯した過ちを謝罪できるくらい聡明で気遣いのできる人だった。
彼を許そうとするアリンもかなりお人好しなのだが……
「そ、そうだな。こほん。依頼内容は聞いているかい?」
「はい。『銀翼の飛竜』からお屋敷まで護衛すればいいんでしたよね? 報酬は書いてありませんでしたが……」
「そうだな。うちの弟の迷惑料も含めて金貨十枚でどうだ?」
「「「「「金貨十枚!?」」」」」
彼が掲示した報酬額に廉達は驚愕した。
「ああ、弟は絶対にしてはいけないことをしたんだ。それぐらい払わないと私の気が済まない。だから受け取ってほしい。」
「…分かりました。」
「ありがとう。報酬はギルドに渡しておくよ。」
「よろしくお願いします。」




