17 黄金の仔羊
黄金の仔羊は、冒険者や旅人などが利用している。
石造りの三階建てで最大八十人が宿泊でき、王都では一番大きくて人気の宿泊施設である。
中央通りに面しているので、盗難などの被害を受けにくいというのが人気の理由でもある。
廉達は、黄金の仔羊に向かいながらアリンから説明を受けていた。
「そうなんだね。教えてくれてありがとう。」
「どういたしまして。」
アリンと話していると黄金の仔羊に到着した。
「うへぇーー......デッカイなぁ。」
「大きいとは聞いていたけど、間近で見ると迫力が違うね。」
「すごっ!」
建物の大きさに驚く廉達であった。
中に入ると美人で優しそうなお姉さんが受付に立っていた。
「いらっしゃ~~い。てっあら、アリンちゃんじゃない~~。おかえり♪」
「ただいま。マリアさん。この三人を泊めてあげたいんだけど......」
「いいわよ。アリンちゃんのお友達でしょう?」
「はい。」
「それなら大歓迎よ。後ろの女の子は二人とも可愛いわねぇ。そこの男の子はアリンちゃんの彼氏?」
「ち、違うよ! 揶揄わないで!」
マリアに廉が彼氏なのか聞かれると慌てて否定した。廉的にはショックだったが、愛に睨まれたので黙っていた。
「あら? 本気で言ったのに。」
マリアの発言に驚く一同なのだった。
「部屋の鍵渡しておくわね。外に出るときは私に預けてね。食事は朝と夜の二食です。ご飯いらないときは、教えてね。私から言うことはこれだけかな。後、若いからと言って夜更かしはダメとは言わないけど程々にね。」
マリアの忠告に廉と愛は意味を理解して顔を真っ赤に染めた。
「「はい......」」
夕食の時間までまだ時間があるので廉の部屋に集まって雑談をすることになった。
「アリンちゃんはダークエルフなんだよね? ということはエルフは嫌い?」
「えっと、私はエルフの友達がいるから好きですが中にはエルフは嫌いって人もいるね。」
エルフが嫌いかどうかは人それぞれということらしい。
それからアリンと京香、愛の三人で女子トークが始まってしまったので廉は蚊帳の外だった。
夕食を食べているときも三人はトークに花を咲かせていた。楽しんでいるのを邪魔するわけにはいかないので夕食を食べ終えると風呂にはいることにした。
脱衣室で服を脱いで、体を洗おうとすると背後から話しかけられた。
「レン、お背中流しますよ。」
「! アリン、どうしてここに!?」
「来ちゃった。ダメかな?」
「ダメというか何というか......よし、背中流してください。」
誘惑に負けて背中を洗ってもらっているとアリンが話してきた。
「レン。改めてパーティに入れてくれてありがとう。」
「いや気にしないで。僕もアリンちゃんみたいな可愛い子と仲間になれて嬉しいからさ。」
一瞬固まって静かになるとアリンの顔がリンゴのように真っ赤になった。
「今の一言で本当に好きになっちゃいました。なので責任取ってください。」
アリンは廉の背中に密着しながらはっきりと告白してきた。密着したせいで胸が当たっていて思考が回らずはいと言うしかない。童貞の男には背後から胸を押し当てられるなんて刺激が強すぎるのだ。
「……ってぇちょっと待って。どういうこと!?」
「冗談だよ。」
廉はアリンにからかわれていたようだ。彼女は結構悪戯好きらしい。
「じょ、冗談か。なぁんだ。」
「ビックリした?」
アリンは悪戯に成功した子供のような無邪気な笑顔を浮かべた。
そのあと、念入りにアリンに洗われ、流してもらった。廉は代わりにアリンの体を洗った。
湯に浸かるとアリンが廉に話しかけてくる。
「あのね、レン。一つお願いがあるの。」
「どうしたの。アリン。」
アリンは廉の腕に抱きつき言った。
「私の冒険者仲間でメイデスっていう獣人の女の子がいて、その子が明日レンに会いたいって言ってたから会ってあげてくれない?」
「別にいいけど。その子は何の獣人なの?」
アリンは嬉しそうにエルフ耳をピクピクさせながら答える。
「狐人族だから狐の獣人だよ。」
「そうか。じゃあ明日一緒に会いに行こう。」
「ありがとうレン。」
体が十分にあったまったのでお風呂から上がり着替えて部屋に戻ると愛が鬼の形相で立っていた。
「先ほどはお楽しみでしたね。廉。」
「ち、違うんだ!」
その後、愛にこってり絞られたのは言うまでもない。




