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すれちがい恋愛  作者: 総督琉
第2章 文化祭
9/30

第8話 文化祭終了まであと5時間

いよいよ彼らの文化祭が…幕を開けた。


4月30日。文化祭当日

「おーい、大神。準備できたか」

「準備バッチリ」


「なんか元気無いように見えるけど…大丈夫?」

「だっ、大丈夫大丈夫」


文化祭当日。だが耳川さんはまだ来ない。だから大神颯は元気がない。

大神颯は期待していた。だがトラウマを植え付けられた者は、すぐには立ち直れない。それが人であり、悲しき現実である。


ごめんね。耳川さん。


昼過ぎになり、昼食をとる。

劇は午後からで、それぞれのクラスが一度だけ体育館で披露する。

俺達の番は最後。まだ時間はたっぷりある。

だけどどれだけ時間があろうと意味がない。


そんなとき一通メールが来る。


「耳川さん!?」


耳川さんからのメールだった。

すぐに内容を確認する。


『今日行けなくてゴメン(涙)

でも次の行事は楽しもうね!』


耳川さんは来れない。人生で三度しかない文化祭。

でもたった一度だけ。このクラスでやれるのは一度だけ。


「浅香。しばらく外出てる」

「えっ、なんで?」


俺は浅香の言うことを耳を傾けず、ある人の家に走っていた。


「着いた。はあ」


耳川さんの家に俺は行った。

緊張が止まらない。だけど…だけど……。


「大神くん!?」

「耳川さん……」


「なんで…? 今日文化祭でしょ。行かなくていいの?」

「耳川さんは…行かないの?」


「私は……いい…かな」


耳川さんは怖がっていた。学校に行くことが。

強引に誘うのも違うだろう。でも…このまま学校を嫌いにはなってほしくない。


「文化祭。耳川さんと一緒に行きたい」


かっこいいことなんて言えない。言えたら苦労しない。だからただ自分の思いをぶつけるだけ。

それでも伝わらなかったらそれでいい。


耳川さんは赤面していた。


「い…行ぅ」

「誰だ? ウサギ」


後ろから兄らしき人が現れる。


「学校の…友達」

「速く帰ってもらえ。これから仕事があるだろ」

「仕事?」


「お前は知る必要ないだろうがな。とにかく帰ってもらえ」

「大神くん。またあとで…ね」


耳川さんは…深くお辞儀をして、玄関を閉じる。

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