第2話 彼らの出会いはすれちがう
僕は大神 颯。高校1年生だ。僕は初めて一目惚れをした。
私の名前は耳川 兎。高校1年生だ。私は初めて一目惚れをした。
「「その相手は………」」
先生は出席簿を机の上に置き、教卓に立った。
「朝の会を始める。学級委員、前に出て進行しろ」
「「はい」」
その相手は、この人だ。
「大神。耳川。先生の話は無しでいい」
「「はい」」
そう。私の想い人は大神くん。
そう。僕の想い人は耳川さん。
「出席を取ります。浅香くん。井伊さん。上原くん……」
耳川さんの横顔がすごくかわいい。ついつい目が行ってしまう。
大神はどきどきしつつも、耳川の横顔を覗いていた。
あれ。大神くん凄い見てきてない。気のせいかな。凄いドキドキしてきた。私、髪型変じゃないかな。
耳川は察しつつも、気のせいだと勘違いして前を向いていた。
「出欠確認を終わります」
「次は今日の予定を話します。1時間目は体育。二時間目は国語……」
大神くんの喋り方マジ天使。男子なのにかわいい。
耳川は自分の心臓がバクバク言っているのを感じ、自分でもドキドキしていた。
あれ。耳川さん凄い見てきてない。気のせいかな。凄いドキドキしてきた。僕、声変じゃないかな。
そんなことを思いつつ、授業の日程を話していた。
「これにて朝の会を終わります」
「気をつけ、令」
「「「「「「ありがとうございました」」」」」」」
朝の会が終わると男子はおおはしゃぎ。何回注意されようと騒いでばっかだ。
何故か学級委員の大神くんも参加している。
でもとても楽しそうにしている大神くんを見て、私がこの顔にさせたいと思った。手を繋いで、遊園地に…
「耳川。耳川。耳川」
「えっ、あっ、ごめん」
何度も呼ぶ声に、耳川はハッとして声の主の方へと向いた。
「男子の方見すぎ」
「そんな見てた?」
「あれはガン見だったよ。ガン見。あんなにガン見してる奴、どこ探してもいないよ」
「ごめんごめん」
恥ずかしい。目線が大神くんに行ってたってバレたら超ハズイじゃん。
「男子。うるさい。中学生気分は捨てろ」
「うわあ、逃げろ」
男子は教師が注意しようとも一向にやめる気配がない。
「おい、お前ら。騒ぐな」
先生は怒鳴るも、男子たちは走って逃げ回る。
「さすがに男子やりすぎでしょ」
「これは言葉も出ないわ」
でも大神くん楽しそうにしてる。
「あ、部活で彼氏出来たわ。超良いでしょ」
「マジで。さやっちヤバい。さすがですね。先輩」
ああー。私も速く大神くんと、結ばれたい。