新キャラレダ君とフレンド達
午前9時半。
端末を被って横になる。
午前6時半には起床し、7時に両親と共に朝食をとる。
その後はーー
ーーー宿題だ。
夏休みの宿題だ。
え?頭痛いって?
玲奈は元々、計画的に宿題を進めるタイプ。
今年の夏休みの計画はこうだ。
朝は両親と共に、普段の学校生活と同じに起床、朝食をとる。
夏休みが始まると同時に立てた宿題の、本日分に手を付けた後、9時から10時の間にログイン。
昼食はなるべく昼時を過ぎない内に。
夕食はまた決められた時間に両親と。その後なる早でシャワーを。
10時頃にはログアウトし、本日分の残りの宿題を消化。就寝。
だ。
7月中に宿題を大分進めておいたので、1日分はその日確実に消化出来る分になっている。
え?ここまで計画的に勉強出来る奴の成績だって?
答えるまでもないのである。
さてさて、〈ストラフェスタ・オンライン〉にログインしたレダ。
リリース2日目の日曜日。
相変わらずの盛況ぶりだ。
昨日、第1の街の広場でダンとまた明日と言ってログアウト。
つまり、現在は広場にいる訳で。
ざわざわざわ。
視線が痛い。
「あのっ!レダさんっ!!」
早速声を掛けられた。
「ん。何?」
「昨日の生放送っ!マジで感動しましたっ!」
「ふぅん。そう。」
「俺、レダさんには届かなくても、俺、強くなりますんでっ!!」
「あぁ。頑張れよ。」
そう手を振って1歩歩き出した所で、
「そうだ。俺に届かないなんて言ってる内は、そこまで止まりだぜ?」
少し振り返ってマフラーから薄い笑みを覗かせればー
「つっ!!あ、ありがとうございますっ!!!」
パァっと。パァっと、顔面を輝かせて深い深ーいお辞儀をしてきた。
そう。昨日の生放送後のやり取りで、ダンと話し合って決めたレダのキャラ設定。それはーー
ーー言葉少ないクール系少年、だ。
ダンによる口調特訓は中々のものだった。
戦闘しながら喋る、という。
流石に余裕のある相手であっても、喋る為の考える行為が邪魔なのである。
それを咄嗟に、間髪入れず、に言葉が出てくるまで続けられたのだ。…結構苦行だった。
ダンとレダ、それぞれの特訓に一区切りついた後は、ダンと共に第1の街へと繰り出し、実践訓練を繰り返した。
そして、このキャラはなんと玲奈にあっていたのか。
その結果が、先程のあれであった。
「よう。レダ。」
「あぁ、おはよ。ダン。」
手を上げながらやってきたのはフレンド、ダンである。
(お。あれ。)
(ああ。レダとダンか。)
(レベル9。やっぱ最強プレイヤーといるんだもんな。あいつもやべぇんだよ、きっと。)
そう、ダンは昨日でレベルが9になっていた。
昨日の特訓後半は、オークを倒していく、等とは生温い。
もはや、異世界の物語で冒険者ギルドに入ってゴブリンを駆逐するクエストでも受けたのか、なんて言える程に次!次!次!ともう何十体と相手にしていた。
現在のプレイヤーのレベル状況はーー
レベル13 1人
レベル9 1人
レベル8 27人
レベル7 783人
レベル6 2674人
レベル5 2991人
レベル4 1293人
レベル3 755人
レベル2 197人
レベル1 1282人
広場で見かけるレベルは6か5。
リリース初日だが、仕事だったのか、レベル1のプレイヤーもちらほらいる。
そして今現在。広場には、
トップ2が揃って一緒にいるのである。
だがこの2人。
そんなこと等全くもって眼中にない2人なのだが…。
「今日はどうする?昨日は散々付き合ってもらったからな。わかれるか?」
ダンに問われる。
彼は基本、まず相手の意志をしっかり拾うらしい。
「ぁー、行ってみたいとこはある。けど、いつでもいい。」
「そうか。俺は、とりあえず今日はオークキング討伐が目標だな。」
「んなもん、今すぐ殺れんだろ。」
安心して下さい!
全てダンさん仕込みです!!
言いたいことは全て、かっこよく言えと!!
かなりの人がいる広場で、2人の会話が聴こえてしまったプレイヤーは目眩を感じたものだ。
レダが行きたいと言ったのは、あの南門を出た荒野。
正確には、目的は荒野にいるゴーレムだ。
その事を告げれば、興味があるというダン。
結局、2人は昨日同様、一緒に遊ぶことになったのだった。
「おい。」
並んで東門へと歩いていたが、正面から来た3人のプレイヤーに話しかけられた。
「なんだ?」
応対したのはダンである。
すぐに帰ってこない返答。全身を舐め回す様な視線。
「…ハッキリ言ってやる。お前ら、最強プレイヤーなんて呼ばれて調子のってんじゃねぇぞ。」
完全にメンチ切ってきやがる。
な、なんてわかりやすい奴らっ!!!
あの放送の反響をみて、むしろ彼らの様な者はいないなんて一瞬考えてたかも。
「乗ってないな。残念ながらというべきか?」
ダンは言い切った。
それは事実であり、自負でもある。
「はっ!大体どいつもそう言うんだよな。ーーおい。最強プレイヤー様は俺らなんかどうでもいいってか?シカト決めやがって!!」
「ん、俺か?悪いが、話の内容がどうでもいい。」
間髪入れずにバッサリとっ!!
バッサリ言われて二の次が出ないっ!!
「別に。攻略とかゲームの話なら今ここでもいいけど。時間、あるし。どう?」
「…え、ぁ…えっ、と?」
バッサリすぎて調子を取られた所に、どう?と来た。
困惑を隠さず仲間を振り返る彼。
「ん。しねぇんなら、もう行くけど。」
「っ、あぁ、その、悪い…。っ!」
悪い。何故かその言葉に眉根が寄る。
思いっきり睨まれたと勘違いが起きる所で、
ぽん、と頭に置かれたダンの手。
「なんで謝られるのか分からないってよ。」
その通りなので、すぐに首肯した。
「あーいや、マジで悪かったな。突っかかって。」
「別に。」
そう言ってレダは、手を差し出した。
「知ってるだろうが、レダだ。」
「同じく、ダンな。」
「…ええと?」
「キャラ名表示されてても名乗るのは、MMOの基本だろ?」
そう言ったのは、2人の内どちらだろうか。
差し出された手を見ていた彼らは、その言葉に促され
「俺はキリュウ。こっちはシリウス。そんでーー」
「超絶ライトマンだ。よろしく頼む。」
ここはVR。そうそう痛い名前はーーいたものである。
「「ちょ…、超絶、ライトマン?」」
文言が完全に一致した事で、2人の動揺が察せられるだろう。
いやもう、彼は何を目指したいのか?
「うむ。キラキラネームもMMOの基本だろう?」
え?そなの?
てか、キラキラネームはこれ違うだろ?
「長いのならば、気軽にライトと呼んでくれ。」
「っおい!一気にノーマルネームになってんぞ!!」
「はっはっはーっ!気にするな!!」
「いや!お前は気にしろっ!!!」
こ、こいつ、楽しいけど疲れる奴だっ!
ライトの大ボケに、キリュウとシリウスまで加わって、皆でツッコミを入れていけばーー
ーー結果、レダのフレンドリストに名前が3つ、載ったのだった。
ーーー
キリュウ、シリウス、超絶ライトマンと別れた2人。
東門を出て、早速、オーク達の楽園とも言うべきフィールドへとようやく辿り着いた。
途中、レダとダンは、最強プレイヤーとその相棒として、多くの視線や声を掛けられる事となり、時間を食ってしまったのだ。
早速!オークキングを!と行きたいが、奴は時折POPする中ボスの様な存在だ。
出てくるまで適当にゴブリンやオークを相手にしていく。
が、
出てこない。
オークキングが出てこない。
へ?どして?
「ダン。…暇。」
「暇、か。まぁそうだな。しかし、謎だな。」
不具合か?昨日はちゃんとPOPしていたが。
あまり場所を変えずとも、しばらくすれば見える位置に徘徊もしてくるのだ。
「徘徊しない、というのはどうだ?」
「…理由は?」
「……ないな。」
うーん。と首を捻るダン。
「探してみようぜ?」
「いいが。俺は別に、今すぐでなくて構わないんだがな。」
まぁ、確かにレダもそうなのだ。
けれど、
「なんか、面白そう。」
呟いた一言に、ダンは一瞬目を見開いた。
「ははっ。これが不具合でなく仕様なら、確かに面白そうだ!」
目を合わせてニヤリと笑んだ後、歩きーー
「どこ行けばいいと思う?」
「…知らん。」
ーー彷徨い出したのだった。
ーーー
ふらふら、ぶらぶら歩きながら、襲いかかってきたモンスターを返り討ちにしていく。
昨日の時点で余裕の生まれてきたダン。
このフィールドのモンスターは敵ではなくなりつつあり、剣戦は鋭く、アシストの輝きが増していく。
これまで呼んできた初心者フィールドは、正式名称ではない。
この〈サーマル平原〉の東門付近一体のことだ。
故に、モンスターの種類が変わった事で、初心者フィールドとは呼ばなくなっただけで、ここは同じ〈サーマル平原〉である。
何が言いたいかって?
彼らは、いや特にレダは、昨日同様、ほぼお散歩状態なのだ。
アクティブモンスターが出るようになった。
それぐらいしか変わりがない。
綺麗だなぁ、等と言いながら、
ゴブリンやオークと言った、人型モンスターが現れる辺りをウロウロと。
ウロウロと。…ウロウロと。
デジャブ
草原に小さめの雑木林が散らばるフィールド。
ちょっとした、いやホントにちょっとした小山があった。
程よい広さのある公園、そこに設置されている様な。
そんな、こんもりといった様な。
あこ登ってスクショでも撮ろうぜ。
そう言って近づき、登って見れば中々いい眺め。
辺り一面の綺麗な草原がーー
ーーと思ったらオークが写り込んできやがった!?
ああ、くそう。と漏らせば、ダンは綺麗に撮れたスクショを自慢げに見せてくる。
ちぇっ。
膨れてぴょんと飛び降りて、ダンを見上げようとーー
ーーーーーーーーー穴。
レダ達が向かって来た逆側に、ポッカリと横穴が空いている。
これはーーーーーーーわかりやすい。
非常に。
「ダンっ!こっち来いっ!!」
すぐに降りてきたダンもまた、同じ感想を持ったのか。
「……いかにもってやつですな。」
「同感。」
「いや、逆かもな。」
逆?
「ーーお前が昨日見つけたのが特殊なんだよ。」
…確かに。
井上さんも生放送で数ヶ月かかるとか言ってたもんな。
「…どうする?」
「どうする?ってお前、選択肢があるのか?」
問い返されてしまった。
けどまぁ、
「無い。」
「よっしゃ。行くか。補給は?」
「俺は大丈夫。」
「俺も。ーーククっ!面白いってな!」
「あぁ、同感。」
そうして、慎重に踏み出す。
昨日のレダの体験談から、滑り台事案はダンも聞いていた。
穴の中は、洞窟が地下に潜り込む様に続いている。
「…ダン。」
「あぁ。これは…不味いな。」
「「真っ暗なんですが。」」
ここはVRゲーム。
しかしながら脳筋〈ストラフェスタ・オンライン〉。
ーー光源ぐらい付けろぉぉおおおおおお!!
間。
現在、2人は第1の街へと戻っていた。
理由は無論ーー
ーーーー光源探しである。
松明、提灯、懐中電灯ーーーーーーーライト。
安心して欲しい。
既に面白半分で超絶ライトマンには連絡を取ってある。
案の定、知らなかった。
おい!ライトマンだろうがっ!!
街の中へ戻ってきた所で、全く当てなどないが、NPC等に聞いて回る。
「やっぱり、作成する感じか?」
生産系はある。あるが、松明など聞いたことがない。
そもそも、ゲームで洞窟が真っ暗闇とか、リアル過ぎるだろ、運営め。
ーーピロピロリン、ピロピロリン
「お?」
『やぁ。私だ。』
「…誰だよ。」
『超絶ライトマンに決まっているだろう!!』
「…あぁ、そうだな。」
クスクスクスクス。
と、ダンが今のやり取りで笑っている。
音声チャットは、フレンド同士であれば複数人を選択出来るので、ダンにもチャットがいっているのだ。
『全く。ーー2人とも喜べ。見つけたぞ。』
「「…マジでか!?流石ライトマンっ!!」」
『そうだ!私が超絶ライトマンだ!!』
「わかったから、どこにあるか教えてくれるか?」
さっさと本題を聞かねば、長くなると判断したのか。
ダンはスっと話題を提示。
『うむ。街の便利屋、だ。』
「ーーーーーーーーは?」
よくよく考えれば、レダもダンもこの広大な街の中で、アイテムショップ、武器屋、防具屋、にしか入った事がないのだった。
街の便利屋。
街の中のショップの一つに見つけた、と言うので、早速その位置を聞いて向かう。
「ここ、か。」
ダンが呟いた通り、目の前には
『街の便利屋』
という看板があった。
ーーーホントにこの店の名前だったのかよ。
まぁ、それは置いといてと、扉を開ける。
そこには、キリュウ、シリウス、超絶ライトマンの、3人が揃っていた。
店の中。
色々、色々、色々。
ピッケル、採掘用ハンマー、伐採用の斧、釣竿、餌、ロープ、厚い布、石?、箱、網、棒、木の板、丸太、ボール、松明、etc。
使えそうな物から、用途不明の物まで。
とりあえず、松明を各々10本ずつ。
5人で50本もあれば、使い切りでも充分だろう。
5人で。
灯りになりそうな物に心当たりはないか?
と、ライトマンに聞いた時に、顛末は話してある。
あの洞窟。
おそらく、ダンジョンではないか?
ダンジョンであるならばーーー
ーーーーーーーパーティでしょっ!!
全会一致なのでした。
特に、キリュウ達3人は快諾というか…。
最強プレイヤーコンビ?にリリース後初めてだろうダンジョン攻略に誘われたのだから、むしろ当然?
キリュウ達のレベルはというと、
キリュウ レベル8
シリウス レベル7
超絶ライトマン レベル7
と、かなりの高いプレイヤーだった。
レダとダン、更にレベル7と8、の5人パーティ。
ダンジョンへと向かう間に、ネットに新たな名前が上がる事になった。
ーーー
横穴の位置は既にマップにマークしてある。
5人は脇目も振らずに横穴へとやって来ていた。
「確かに、いかにもですね。」
シリウスがまじまじと奥を見ながら感想を漏らす。
シリウスは思慮深く丁寧な人柄。
ただし、獲物がハンマーと、ちぐはぐだ。
案外、レダの様に実ははっちゃけるタイプなのか。
キリュウは思い込み易く、すぐ突っ走る多少熱血漢。
獲物は片手剣。
ライトマンの性格はもういいだろう。
だが、獲物がナックルってさ?
え?あんたは一体何がしたいのさ?
「さてと、どうする?」
ここへ来る途中で、このパーティのまとめ役は自然とダンになっていた。
まぁ、妥当?
「シリウスが先頭でハンマー振りまわしゃいいんじゃねぇか?」
「…却下。前が見えない。」
「ならば!私が先陣をっ!」
「ライトさんが後ろにいて下さると、とても心強いのですが…。」
「そうか!では私は殿を務めよう!!」
「おう。」「頼んだぜ。」「…任せた。」「よろしくお願いします。」
ライトマンの対応はシリウスに任せよう。
レダとダンは、心のメモを、取り出した。
入口から見える分の洞窟の大きさは、2人並んで歩くのがちょうどいいもの。
先頭は片手剣持ちのレダとキリュウ。
2列目にダンと、シリウス。
殿にライトマンだ。
背後を気にしなければならない殿は、ナックル故に小回りの効くライトマン。
ハンマーのシリウスは、中間だけでなく、背後にナックルだけでは処理しきれない場合のフォローに。
レダが主に斬り込み隊長。
キリュウはその補佐と松明を。
ダンも松明を持ちながら、全体の司令塔に。
何が待ち受けているのか全く分からないのだ。
入念に受け合わせ、動きを確認しーー
「行くか。」
「「「「おう!」」」」
ーーいざ、ダンジョンへ!
一歩、踏み入った途端。
鬱屈とした空気に晒される。
「雰囲気あり過ぎだろ。ぞくぞくするぜ。」
発言したキリュウだけでなく、他の面々も緊張の面持ちだ。
「このゲームのダンジョンだからな、何が起こるか…。」
ダンの言う通りだ。気を引き締めてかからねば。
入り口から差し込む明かりが無くなってきた所でーー
…っ!
ーーレダが身構える。
それを見た面々は、どうしたと問うこともなくレダに倣う。
姿を見せたのは、オーク。レベル9。
1体ではない。3体。
「レベル9?」
フィールドにいるダンジョンより1つレベルが高い。
このゲーム、たった1レベル上がった、だけでは済まないのは承知済み。
「違いはレベルだけとは限らないだろうな。気をつけろ!」
ダンの忠告を聞きつつ、シリウスがキリュウの松明を受け持ち、レダとキリュウが前へ出る。
「…キリュウ、1体任せる。」
「はっ!さっさと片付けて手伝ってやるぜ!」
「へぇ。なら、その前に倒しておくか。」
「このっ、!見てやがれ!!」
「…フラグだろ。そのセリフ。」
ダンとシリウスが必死に笑いを堪える中、戦闘が始まった。
「つっ!!ーーー狭っ!!」
2人並んで歩くにはちょうどいい。
2人並んで戦うには、狭い!
だがっ!!
「なんだこいつら!武器持ってねぇぞ!!」
突っ込んでくる。
いや、掴みかかってくる!
下手に避ければ、もう一方の味方の邪魔をするか、後ろに流れてしまう。
更に、狭くとも先鋒を1人にするのもいただけない。
これも2人だと狭いが、1人だと同じく後続へ流れるのを抑えるのは厳しい微妙な横幅なのだ。
完全に組みつかんとするオーク。
後ろに流れる=混戦、と思い、2人並んで壁になる。
「っ!ーーはあっ!!」
掴まれる前に胴体へ強烈な斬撃を叩き込みノックバックしたオーク。レダはその間に連撃を畳みこみんでやっと1体撃破。
キリュウはレダの動きを参考に、横斬撃で振り払うのではなく、剣を縦に振ってノックバックを狙っていく。
流石にレベル8のプレイヤー。
ダンと比べればあれだが、かなり剣撃を自分のものにしてきている。
レダは、撃破したオークが消滅すると同時に全速力の突きをオークの喉元へ。
完全なクリティカルヒット。
装備のステータスによって、レベル9の相手のHPをこの一撃でイエローゾーンへと持って行く。
ちなみに、HPの色分けは
グリーン、半分でイエロー、1割でレッドだ。
ノックバック状態の間に3度、剣線が走った所で、振り返って苦戦するキリュウとその相手を前後から叩き戦闘終了。
「なんじゃこりゃーっ!!」
まだ1度目の遭遇で座り込むキリュウ。
「お疲れ様です。しかし、戦える空間が限定されるだけで、こうも違うとは。」
「そうだな。しかも、オークが武器無しで群がり込んでくる、か。クク、よく出来てるな。」
「…空間設定が絶妙すぎ。」
「大丈夫だ。私に任せるがいいっ!!」
ライトマンに集まる視線。
ライトマンの武装ーーーーナックル。
超近接武器!!!
ダンがライトマンに近づき肩を叩く。
「ライトマン。出番だっ!」
「はっはっはーっ!皆安心するがいい!私がーー」
「おーいったれライトー!」「…うるさい。」
「(レダさん、しーっ!)ライトさん、頼もしいです!」
現状を知り、即座に作戦変更。
先頭、レダ、ライトマン。
中間、ダン、キリュウ。
殿、シリウス。
先頭で抑え、中間は臨機応変に、殿は横振りのハンマーで。
「さて、楽しい遠足だ。」
「ははっ!全くその通りだ。」
レダとダン。こんな、先の見えない洞窟で、2人はそれは楽しそうに笑うのだ。
ライトマンはほっといて、
キリュウとシリウスは完全な呆れ目を送っていた。
玲奈ちゃん振り切れました…。
やっぱりダンジョンいいですよね
次回、ダンジョン攻略です。