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シリア内戦 政府軍パイロット1

極東の島国の有名なアニメーション、英雄たちが広大無辺な銀河を舞台に戦うやつだ。そう、150話くらいあるやつだ。士官学校の休暇に友人と見た。そのアニメーションじゃ、戦争は150年も続いてた。俺は、そんな自分が生まれるずっと前からやってる戦争じゃあ、大義も義憤も何もかも忘却されて、とてもじゃないが続けられっこないだろうと思った。でも、この戦争が始まって、人類はどんなくだらない理由でも戦争を始められるって思い知った。どんなくだらない理由でも戦争を始められるんだから、大義も義憤もなく150年続けるのも不可能ではないのかもしれない。

俺たちが戦争をしている理由……聞いて驚け、そしてせめて笑ってくれ。俺たちはガキの落書きのせいで戦争をやってるんだ。俺たちの大統領の悪口を、ガキが壁に書いた。そしたらあれよあれよと泥沼の内戦だ。見つけたやつが気を利かせて誰にも見つからないように消してくれたり、スプレーをもって家から出るガキを父親なりが止めてくれてたりすれば、俺たちこんな殺し合いをしないで済んだんだ。ああ、銀河の運命を賭けて、独裁制と民主制のぶつかり合うところにおわしまする皇帝陛下と元帥閣下に、俺たちの戦争について教えてやりたい。彼らはどんな顔をするだろう。


俺の操縦するヘリの、眼下に広がる町は特別な町だ。アレッポ。俺たちが数えきれないほど爆弾を落として数えきれないほど人を死なせた町。この国で育ったヤツで、この町を誇りに思わないヤツなんていなかっただろう。文明の交差点、4000年前からあるメソポタミアの古都、モンゴル帝国にも十字軍にも落とされなかったアレッポ城、ウマイヤ朝時代に建てられた大モスク。ただ歴史があるってだけじゃなかった。俺が島国のアニメーションを見たのは、この町に住む友人の家で休暇を過ごしてた時だ。アレッポの大学には島国の言語を専攻する学科があって、そこがアニメーションの翻訳プラットホームになってた。旧いだけじゃない、面白い町だったんだ。そんな町を俺たちは廃墟に変えた。

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