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左利きの次郎兵衛  作者: ケンタシノリ
第6話 百貫島に潜む海賊連中との最後の戦い
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その4

 次郎兵衛は、急な傾斜に足を取られないように山道を進んでいる。


「相変わらず草むらで覆われている上に、こんなにきつい坂道が待ち受けるとは……」


 さすがの次郎兵衛も一苦労する草むらの中から、海賊連中が一斉に襲いかかってきた。


「おめえには、この草むらで血まみれになるのがお似合いだぜ!」


 敵の目的はただ1つ、次郎兵衛を亡き者にするためである。次郎兵衛は、海賊たちの襲撃に鞘から抜いた刀で何とか攻撃を食い止めた。


「この島を知り尽くしている以上、おめえをこのまま通すわけにはいかないぜ」

「そうくるのなら、わしも本気にならないといけないなあ」


 次郎兵衛は敵の動きを読むと、海賊連中を一気に斬り倒していった。しかし、次郎兵衛の周りには海賊たちが取り囲もうしていた。


「おっと、頂上へ行こうたってそうはいかないぜ」

「なぜなら、おれたちによってその場で血まみれにして始末するのさ」


 数的優位に立つ海賊連中は、次郎兵衛に狙いを定めて一斉に刀を鞘から抜いた。けれども、次郎兵衛は決してひるむ様子を見せることはない。なぜなら、これまでも大多数を相手にした立ち回りに手慣れているからである。


 海賊の足の動きに、次郎兵衛は刀を握りながら素早く反応した。そして、次郎兵衛は周りを囲んだ海賊たちを左利きの刀さばきで次々と斬り続けた。


 次郎兵衛は、周りで倒れたままで命を絶えた海賊連中の屍を見ている。しかし、海賊たちの攻撃方法は直接襲いかかる方法だけではない。


 次郎兵衛の背後にある木の上には、弓矢を持って狙いを定める男が立っている。弓矢で狙う相手は、もちろん次郎兵衛である。


「正面から襲ってもダメなら、遠くから狙うのも1つの手段だぜ」


 これ以上次郎兵衛に斬られてばかりでは、海賊の一員として心もとない。


 弓矢を使って狙うのは1人だけではない。次郎兵衛の後方に立っている木には、海賊がそれぞれ1人ずつ弓矢を構えている。


「いいか、一斉にあの男の背中へ弓矢を放て!」


 海賊たちは、次郎兵衛を始末しようと弓矢を次々と放った。しかし、次郎兵衛は敵の気配を感じ取ると振り向きざまに矢を何本も斬り落とした。


 この様子に、木の上にいた海賊たちは草むらに続々と着地してきた。敵の連中は次郎兵衛をにらみながら、鞘から刀を抜いて待ち構えている。


「よくもまあ、縄張りに上がり込んで歯向かうことをしやがって……」

「ここに何人いるか知らないけど、相変わらずしぶといとはなあ」


 海賊連中は、次郎兵衛を始末しようと刀を次々と振り下ろした。これを見た次郎兵衛は、相手の刀を食い止めると一気に横から斬っていった。


 その後も、次郎兵衛は敵の動きを読みながら、立ち回りからの刀さばきで海賊たちをその場で斬り倒すに至った。


 しかし、次々と出現する海賊たちの動きに、次郎兵衛は次第にあせりの色を見せるようになった。


 新たに現れた敵はそれにつけ込もうと、次郎兵衛を集団で襲いかかってきた。いきなり槍で攻撃を仕掛けてきた連中に、次郎兵衛は刀をつかって食い止めるのが精一杯である。


 海賊にとって、この島は潜伏先とあって侵入者に対する攻撃も手慣れた様子である。次郎兵衛と海賊たちの表情を見れば、こうした戦いに慣れているかどうかが明白である。


「こんなところで命を落とすわけにはいかない……」


 いくら不利な条件といえども、ここから立ち去るというのは許されるものではない。次郎兵衛は相手の槍による攻撃をかわすと、その場で刀を振り下ろすように斬った。


 これを見た他の海賊たちは、次郎兵衛を始末しようと次々と襲いかかった。そんな状況の中、次郎兵衛は冷静さを取り戻すと自らの刀を自由自在に動かしながら斬りまくった。


 刀を鞘の中へ戻した次郎兵衛の周りには、自ら倒した海賊たちの屍が地面に積み重なっている。次郎兵衛は、それを後にして島の頂上へ向かうことにした。

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