只野救出作戦 ー5ー
「それではエントリーを開始します。番号を貰ったら、ランダムで出走順が決まりますので……」
竹中かぐやは司会として、周囲の人達に伝わるよう見回した。その時、俺と竹中かぐやの目線が重なった気がした。こっちをジッと見つめるだけじゃなく、舞台から降りて、近付いてくる。
「えっ……と、何か用が」
恥ずかしくて目線を外しながら、竹中かぐやに質問したら、後ろにいた明日香ちゃんに用があるみたいで、舞台の方へ連れて行ってしまった。
「皆様、このイベントに西園寺アスカさんが来てくれました。私は記者ではないので、色々聞く事はしません。ただ……参加すると思ってよろしいのでしょうか?」
竹中かぐやは化粧や服も違ってるのに、遠くからでも明日香ちゃんが西園寺アスカだという事が分かったみたいだ。
「……S級トップアイドルに覚えてもらえたなんて光栄ね。勿論参加させてもらうわ。そして、当然一位を狙う。それと、この場を借りて天川織姫のチームの一員になった事も報告しておくわ。ファンでもなく、手下とかでもない。ある目的が一致したからよ」
元アイドルだったせいか、舞台に立っても照れたりする事もなく、西園寺アスカというキャラを演じてみせた。その言葉に周囲は一段と盛り上がりをみせた。
「天川織姫さんのファン達の機体は特別なのが多いですから。アスカさんもそういうのだと思った方がいいみたいですね。それなら、最初のレースにはアスカさんが出走するのを決めても問題はないでしょうか?」
それは明日香ちゃん本人だけでなく、エントリーする人達にも問いかけるもので、雄叫びが了承を得たという感じになっている。
「仕方ないわね。一番手は貰ってあげるわよ」
明日香ちゃんも一回は確認してからレースしたかっただろうけど、引くにも引けなくなったみたいだ。スクリーン前の筐体に座って準備を始める。
「このレースはアイドル戦記に使ってる機体を使うと言いましたが、武器は装備した状態ではないので注意してください。レース途中で手に入れるという形になってます」
最初に飛び出した方が不利になる可能性があるし、戦闘よりもレースメインにしたいのかもしれない。
そして、最初のレースの参加メンバーが決まっていき、この場所では明日香ちゃんの他に二人が選ばれた。スクリーンには参加メンバーの番号だけが表示され、ニックネームや誰のファンなのかは表示される事はなかった。まぁ、明日香ちゃんは自身で発表してるし、ましてや俺の場合はトレイターを操縦する時点でバレたのも同じなんだけど。




