只野救出作戦 ー3ー
「私が元アイドルだからなわけ? 色々制限がかけられてるんだから。新しい機体なのは良いとして、ロボットに変形出来ない。機体変更も出来ないし、武器とかも固定されてる。出来るのは自身の改造だけ。そっちが圧倒的に有利なわけ。逃げてるわけじゃないんだから」
機体はトレイターで十分だと思ってたから気にしてなかったけど、明日香ちゃんの言葉を聞いて調べてみたら固定されていて、他の機体に変更出来なかった。リベリオンに関しては武器さえも自由に選べないのはカスタマイズの楽しみがないって事だ。きっと、可変型というのが理由なんだろう。装備を変更すると機能が成り立たないとか。
「なんてね……冗談。用事が出来たから、一足先に帰らせてもらうわ。機体に慣れたいのなら、二人でゲームセンターに行くのもありだと思う」
カストルさんの携帯が鳴り、何かの用事が出来たようで、急いで部屋から出ていってしまった。すると、すぐさま明日香ちゃんも立ち上がった。カストルさんの言葉通り、ゲーセンで練習するつもりなのかなと思ったら、全然違っていた。
「追いかけないの? アイツ謎ばかりで、弱味とか握ったり……正体を知りたくない? 私達は名前も知られてるし、顔だって隠してないんだから」
明日香ちゃんもカストルさんの正体を知りたいみたいだ。前回失敗したみたいに、カストルさんはそこのところほ警戒してると思う。けど、今回は本当に急ぎのようだ。
「確かに!」
ここで会話する時間も、カストルとの距離が遠くなるだけ。まずは行動あるのみだ。
カストルさんが出ていってから、一、二分。後ろ姿もまだ確認出来る距離。こちらを振り向く様子もない。注意するのは曲がり角。待ち伏せしてる可能性もある。
俺と明日香ちゃんは一緒に行動するんじゃなく、少し離れている。バレたとしても、もう一人が尾行を継続出来るからだ。だから、まずは明日香ちゃんがは早足でカストルさんを追いかけた。
「あれ……追いつけなかったの?」
俺も少し間を置いて、二人の距離の間隔ぐらいを取ってたんだけど、明日香ちゃんは足を止めていた。
「うん……車が走っていったから、それに乗ったのかも。タクシーとかじゃなかったから……本当に何者なのよ」
カストルさんがタクシーを呼んだ様子もなかったし、誰かが出迎えに来たのか。人の家の飯を漁ったり、ゲーセンでも人に金を使わせたりしたのに、実際は金持ちだったりするんだろうか?