俺は覆面アイドルのファン一号 ー6ー
「ファン数も二人でアイドル戦記に参戦するのも凄いな。いや、星野氏がファンになれたのもだぞ。ファンクラブに申し込む欄がない。マイシスター以外に別のアイドルに興味を持つのは」
普通はアイドル専用サイトにログインして、ファン登録するらしい。けど、天川織姫のサイトではファン募集の項目がないのだ。それなのに俺はファン会員番号を手にしている。それは顔見知りだからで、もう一人もそうなのかもしれない。
「まぁ、それは置いておくとしよう。アイドル戦記の事を聞いてきたという事は戦争について助言して欲しいのだろ? 今週の戦乙女で戦争結果がないという事は、戦争に初参戦というわけだ」
只野さんは俺がどうやってファンになったのかを尋ねてこなかったのは好感を持ってしまった。俺もどう答えたらいいか分からないし。それだけでなく、心を読むような発言は只者じゃない。これも戦況を読む力なのか。
「そうなんです。こっちは二人だけ。しかも、一人はアイドル戦記に登録してくれたのかも分からないわけでして」
これは相手の返事待ち。只野さんの携帯からではファン専用の掲示板を見る事が出来ず、確認出来ない。
「相手は誰になったのだ? ライバルではあるが、初参戦のアイドル。こちらはC級に上がった事だし、D級アイドルの情報ぐらいなら問題あるまい」
D級アイドルはいわば候補生。人数も大多数いると思いきや、五十人にも満たない。アイドル戦記に参加するだけでも特別な何かが必要なのかはファンの俺達には見当もつかない。
「相手は有佐アリサで、戦争は明後日なんですよ」
「アリサ二乗か! それだとアドバイスは難しいぞ。D級は動画に残される事は滅多にないからな。ちなみに戦争がない場合、アイドル戦記から別の戦争を観戦する事は可能だ。全部が実況や解説がつくわけではないぞ」
アリサ×アリサで二乗。格好悪いし、敵側としてのあだ名なんだろうな。けど、アドバイスが難しいとはどういう事なんだろう。