只野救出作戦 ー2ー
「私の携帯じゃなくて、お兄の携帯というのが怪しいんだよ。相手は意識を失ってる事を知ってるわけなんだから。けど、お兄が倒れた原因とエンペラーは関係ないわけだし」
確かに意識を失った只野さんにメールを送るのはおかしいわけで、見るとしても家族ぐらい。運営なら明日香ちゃんに送るはず。それにエンペラーを倒せって言うのも意味が分からない。運営に取り合っても何の答えも返ってこない。
「そこはエンペラーを倒せば答えが分かる。まぁ、対策は未だないわけだし、相手はエンペラーだけじゃなくて、アイドルもいるんだから」
エンペラーを狙おうにも、別のアイドルと戦争中であり、相手側もエンペラーを狙うかもしれない。共同戦線も必要かもしれないけど、撃破した方にメリットがあるのだから無理がある。
「だから、今は次の対戦。私以外は足手まといなんだから、並べるくらいに強くなってもらわないと」
カストルさんはエンペラーがそれだけの強さを持ってると感じてるんだろう。今の状態での俺や親父さんではエンペラーに攻撃を当てれそうにもない。
「それは失礼じゃないの。私は星野さんよりも上手く操縦出来る自信があるし、カストルさんにも負けてるとは思えないんだけど」
「そう? なんなら勝負してみる。同じチームになったわけだし、ゲームセンターで戦えるわね」
「それは……」
明日香ちゃんなら受けて立つと思ったけど、口ごもってしまった。明日香ちゃんのニックネームはコメット。初期機体も量産型モブじゃなく、トレイターやフェアレーター同様、リベリオンという反逆の意味を持つ機体。名前や機体を考えると親父さんだけが仲間外れな気がする。
そのリベリオンはどういう機体をなのか。トレイターは遠距離型であり、フェアレーターは近接型。同系統の機体で色違い。けど、リベリオンは違う。可変型の戦闘機と書かれてるんだけど、チュートリアルの練習では何も変形出来なかったらしい。ちなみに炎をイメージしてるのか、機体の色は赤。反逆の狼煙を上げる紅蓮の翼と明日香ちゃんは言葉にした。あえて只野さんが言いそうなのを選んで言ったのかもしれないけど。