只野救出作戦 ー1ー
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「ハァ……いつの間に色んな問題が多発してるのよ。悪いんだけど、こいつの顔もムカつくし」
只野さんが意識を失ってから二日が経過した。その間に西園寺アスカの引退して、天川織姫対西園寺アスカ戦は天川織姫の不戦勝という結末。その結果、天川織姫に対するイメージが悪くなったりもした。対戦前の西園寺アスカの引退によって、弱味を握られたからとかデマが流されたりしたからだ。
「こっちもそうしたかったわけじゃないんだから。お兄の顔がムカつくのは同意するけど」
俺とカストルさん、それに明日香ちゃんは俺の家で作戦会議をしようとしてるんだけど、少し前に只野さんの面会に三人で行ってみたわけだ。
普通なら深刻な雰囲気とかになりそうなんだけど、只野さんはだらしない顔して笑った状態になっていた。それは意識を失っているというよりも、良い夢を見ながら寝ているようにも見えた。重体といえばそうなんだろうけど、その顔によって心配したのが損した気分になる。
「それで……織姫が無関係のアンタを仲間に入れたのは分かったし、過去話もね。こちらとしても利害は一致してる。言っておくけど、私も彦星と同じで全然知らなかったから」
明日香ちゃんが天川織姫のチームに入った事で、自身がカストルさんに説明した。カストルさんも俺と一緒で何も知らなかったみたいだ。
「そんな事を言うと、逆に疑えって言ってるような感じになりますよ。それよりも今後……ランクアップは当然として、問題なのはエンペラーの撃破ですよ」
エンペラーの撃破はランクアップの近道。当然、ランクアップは目指すんだけど、今回は理由が違ってくる。
「嘘の可能性もあるけどね。理由はどうであれ、私は倒すつもりでいたから」
只野さんが意識を失った原因がアイドル戦記にあったのかを調べるために、明日香ちゃんがパスワードを知っていたおかげで携帯やPCの中身を確認する事が出来た。けど、メールは二通を残して全部消去されていた。その二通も只野さんが倒れた後に送られてきている。只野さん自身が明日香ちゃんを危険な目に合わせないために、確認後に消去したかもしれない。
ただ、送られてきた二通のメールの内容は俺達もビックリするものだった。
一つ目は明日香ちゃん同様、天川織姫の会員番号五番に任命する内容。ニックネームも書かれている。当然、意識を失ってるわけだからチームの一員となったわけじゃない。
二つ目は運営からなのか、それともイタズラメールという可能性がある内容。只野さんを人質に取ったみたいな内容で、助けるためにはエンペラーの撃破を要求してきた。