親父と新戦艦が出撃します ー18ー
「そのつもり。現在のS級のアイドルのファンになっても全員が運営に会えるわけじゃないと思う。貢献度が高いファンがアイドルと一緒に会うとか……だから、少数精鋭の方が都合がいいんだよ」
確かに明日香ちゃんの言う通りだとすれば、途中参加のファンが貢献度を上げるのは難しいかもしれない。それにS級のアイドルとなれば何千、何万のファン数になって、一回の戦争に全員が出れない。
「あれ……星野さん? 今日はお休みだったのでは」
明日香ちゃんと話してる間に十時前になり、交代のバイトが来る時間になっていた。
「夜野さんも休みだったんじゃ……俺みたいに店長に頼まれたんですね」
俺と同じで夜野さんも仕事に駆り出されたみたいだ。
「そうですね。そちらの方は……仕事の先輩でしょうか?」
「いや……只野さん、先輩の妹さんでして……色々とあって仕事に入れなくなった事を伝えに来てくれたんですよ」
「只野……シフトにも名前がありました。そうですか……話の邪魔をしているようなので、すぐに着替えますから」
夜野さんは更衣室に入り、数分で着替えて表に出ていった。
「……知ってる人に似てた気が……けど、別人かな。雰囲気もだけど、名前も違ってるから」
明日香ちゃんは夜野さんを誰かと間違ったみたいな事を独り言のように呟いている。夜野さんの方も只野さんの名前を聞いた時、一瞬考える素振りを見せたけど、それはシフトで名前を見たせいだったらしい。
「えっ……と、話を戻すね。これは星野さんやアイツも知らない事だと思うの。別人の可能性もあるんだけど」
明日香ちゃんが言うアイツとはカストルさんの事だろう。俺達の共通してるので、知らない事というのは天川織姫関連かもしれない。
「アイドル戦記の開発で、最初のアイドルはどうするかになった事があったみたいなの。そんな中、選ばれた候補は二人。有名アイドルと無名アイドル。その無名アイドルが天川織姫って名前だったの。星野さん達のレアな機体とか、名前が偶然同じだとは思えないでしょ。天川織姫には何かある! だから……」
明日香ちゃんの携帯が震え、内容を確認するために会話が止まった。それにしても、明日香ちゃんの話には驚きの連続だ。本当に俺が知ってる天川織姫がアイドル戦記開発のための初期アイドルになってたというのは事実なのか。全国に配信された時には天川織姫は登録されてなかった。
「明日香ちゃん……前も言った気がするんだけど、会員登録するのは俺じゃなくて、天川織姫が決める事だから」
心情的に明日香ちゃんを仲間に入れてあげたいけど、報告する手段がない。掲示板とかでもコメントは一言もないわけだし。それに明日香ちゃんと天川織姫は繋がりがないに等しい。本当のファンというわけでもない。
「うん……何で知ってるんだろう。まだ何も発表してないのに。けど、これで……」
明日香ちゃんは携帯を俺の目の前に出し、送られてきたメールの内容を見せてきた。そこには会員番号四番とニックネーム、天川織姫のファンと認める文章が送られてきていた。