親父と新戦艦が出撃します ー14ー
「別にどうでもいいわ。何? 手加減して欲しいわけ。喧嘩を吹っ掛けてきたのはそっちなのに? 過去話とか目的を前もって話すのは大概死亡……負けフラグが立つのよね」
死亡フラグ。一つの例として『俺……この戦争が終わったら、アイツと結婚するんだ』とか、大概が戦争前に親友などに自慢話みたいに話して、生き残れずに主人公が叫ぶ感じなもの。
「おっと……カストル氏からフラグの言葉が出てくるとは。オタク嫌いなように見えてなかなか……カストル氏も僕達と戦うのを楽しみにしてるようだ。この話は後に取っておく事にしよう」
折角明日香ちゃんが西園寺アスカになった理由を聞けると思ったのに、カストルさんの言葉で先延ばしになってしまった。死亡フラグを避けるためとか、只野さんの言った通り、カストルさんも結構楽しみにしてるかもしれない。
けど、後に取っておく話とかも死亡フラグのあるあるネタだと思うのは俺だけなんだろうか。話を聞く前に殺されたりして、謎を引き伸ばす展開にするとか。まぁ、本当に死ぬわけじゃないから問題はないんだろうけど。
「まぁ……今日は私達の戦いはないわけだし、アンタ達の戦争を観戦してあげるわ」
それはカストルさんなりの応援の言葉なのかもしれない。それを聞くと俺も明日香ちゃんと只野さんの戦いを見逃すわけにはいかない。バイトもないわけだし、何時からだろうと余裕がある。
「俺も只野さん達の戦いを見ます。今回は何時に設定されて……」
只野さんに開始時間を教えてもらおうとした時、携帯に着信があった。表示されたのはバイト先。こういう場合に電話があるって事は嫌な予感しかない。それでも電話を取らないわけにはいかないわけで。
「……はい……はい。今日は……はい……分かりました」
やっぱり、急に休んだ奴の代行。アイドル戦記を始めてから、夜のシフトを外すようにした事でシフトのバランスが崩れた。しかも、只野さんの休みが増えた事も理由の一つ。店長の必死の言葉に断る事が出来ず、出勤が決定してしまった。
「仕事場からか? ……すまん、星野氏には迷惑をかける。埋め合わせはきちんとさせてもらおう。だが、アイドル戦記で手を抜くとかはなしだぞ」
「それを言うのは俺ですよね?」
只野さんも電話の内容を察したみたいで、頭を下げた。埋め合わせという言葉で、アイドル戦記の戦争で手を抜くとか言いそうなのを、引き止めるつもりだったのに。俺がそんな事を言ってくると思ったのかもしれない。