親父と新戦艦が出撃します ー13ー
「負けたらファンに加入するだけで、天川織姫は引退するなんて言ってないのに……っと、ノックする音が」
明日香ちゃんが勝利すれば、俺とカストルが西園寺アスカ側に行く事になるわけだけど、親父さんの加入した事で天川織姫のファンがいなくなるわけじゃない。まぁ、それについて反論のコメントがないという事は承諾したとも取れるわけなんだけど、その事についてカストルさんにも意見を聞こうとした時、家のドアがノックした音が聴こえてきた。
「はいはい……今開けますよ」
食べ物が関係してないせいか、カストルさんが勝手に出る事はなかった。家を訪ねてくるのはセールスとか宅急便。もしくは夜野さんぐらいか。
「星野氏……久しいな」
「えっ? 只野さん! 対戦が終わるまで会わないんじゃ」
只野さんはカストルさんみたいに了承もなく、荷物片手に家の中に前進する。そして、カストルさんがいると分かっていたのか、パンを餌にして居座る事を認めてもらっていた。まるで、家主が俺じゃなく、カストルみたいだ。
「報告にな。C級のバトルロイヤルの報酬というべきか……五連勝すれば任意の相手との戦闘を認めると運営からメールが届いた。そして、今日のアイドル戦記で勝つ事が出来れば条件を満たす事が出来る。星野氏達の次の対戦相手は僕達となるだろう。こちらが分かってるのはフェアじゃないと思った次第だ」
「ふ〜ん……やけに自信満々じゃないの。そんな事言って、次の対戦で負けたら大恥よ」
「カストル氏の言う通り。宣言する事で勝つしかない気持ちにさせるわけだ」
カストルさんはプレッシャーを与えようとしたみたいだけど、只野さんほそれを求めてたようだ。そんな事よりも引退をかけた戦争について、もう一度話さないと。只野さんは明日香ちゃんを止めなかったけど、前回と違って親父さんという天川織姫に新しいファンが一人増えてるわけなんだから。
「あの……只野さん、引退の話なんだけど」
「明日香がな……久しぶりにアイドル戦記を楽しんでいるのだよ。そもそも、明日香はトップアイドルになりたいわけじゃない」
俺の言葉が聞こえてなかったのか、只野さんはマイシスターとか馬鹿げた事を言わず、真面目な雰囲気で話を進めていく。しかも、明日香ちゃんがアイドルになった理由を話してくれそうだったんで、そっちに興味を持ってしまったわけだ。