親父と新戦艦が出撃します ー4ー
「だ、大丈夫ですか! きちんと謝罪させますんで、一緒にご飯を食べませんか」
俺は再びドアを開け、夜野さんを助け起こした。蕎麦を奪った手前、カストルさんも文句を言えないだろう。只野さんの時もどうにか一緒にいる事も出来たわけだし。
「あの声……あっ! 大丈夫ですよ。子供もああいうタイプなんですよ。一緒に食事したいのは山々なのですが、これから用事がありますので」
夜野さんはカストルさんの攻撃に対して文句も言わず、ケロっとしていた。それに声を掛けた俺の顔を見ずに、家の先を見つめていた。知り合いの声に似てたんだろうか? それとも変な気持ちに目覚めたのなら……。
「それでは、スカト」
「カストルです」
「カス……スカ……カストロ……カストルさんにも謝っておいてください」
夜野さんは何度も名前を間違えそうになりながら、最後にはきちんとカストルさんの名前を言う事が出来、その成功に俺は何度も頷いた。
「はぁ……何で俺がヒヤヒヤしないと駄目なんだ。カストルさんも俺の知り合いに暴力を振るうのは止めてくださいよ」
只野さんの時もそうだったけど、五十代の夜野さんにもするとは思わなかった。それと案の定、カストルさんは俺のために持ってきた蕎麦を食べ終えていた。大食いキャラに認定だな。
「どっちも怪しい奴で、失礼な奴だったからでしょ」
それを言うなら、カストルさんの方が当てはまるんだけど。
「もしかして……カストルさんの名前って夜野じゃ……知ってる声みたいな事を夜野さんが言ってたし」
「何言ってんの? そんなわけないじゃない。声だけで判断出来るわけないでしょ。まぁ……こっちも知ってる奴かもと思ったんだけどね」
父親だと釜掛けてもカストルさんが驚いた様子もないし、親子じゃないみたいだ。けど、夜野って名前の知り合いはいるらしい。実際は別人みたいだったようだけど。
「あっ! それとさっき対戦相手と日時が決まったわよ。その日は用事があって参加出来ないから、親父さんと二人で頑張ってね」