親父と新戦艦が出撃します ー3ー
「それで……俺はどう動けば」
俺がカストルさんに質問しようとした時、ドアをノックする音が聞こえてきた。
「星野さん。今更なのですが引っ越し蕎麦を持ってきたのですが……」
「この声は……夜野さんか」
丁度昼食ぐらいの時間のせいか、夜野さんが律儀にも引っ越し蕎麦を持ってきてくれたみたいだ。
「……夜野って……アンタも含めて、〜野って名前ばかり」
夜野さんの名前を聞いて、一瞬溜めをつくるから知り合いにいるのかと思ったら、〜野が多いって。それは偶然に過ぎないし、神様が〜野を集めるのが楽だと思ってるとか。
「それって、カストルさんの本名も……って、何でカストルさんが対応するんですか!」
カストルは俺をニックネームの彦星と呼ぶけど、星野って名前も知ってる。一方、俺はカストルの名前も知らない。そう思うのは自身も〜野なのかもと思ってると、カストルさんはマスクを装着して、ドアを開けた。炒飯で満足したと言いながら、蕎麦もお腹に入れるつもりかもしれない。
「おはよ…………」
夜野さんは俺がドアを開けたと思って、挨拶しようとしたけど、出てきたのはサングラスにマスク、帽子を被ってる怪しい奴。そんな奴が引っ越し蕎麦欲しさに手を差し出してるわけだ。カストルさんも相手がどういう反応するか予想出来るはずなのに。
「すみません、夜野さん。カストルさんも下がって」
「えっ? スカト」
「変な名前で呼ぶな!」
その先の言葉を予想したのか、カストルさんは見知らぬ五十代のおじさんにアイアンクローをかまし、もう一つの手で引っ越し蕎麦を奪い取った。その後に蹴飛ばして、ドアを閉めた。嫌な名前で呼ばれそうになったのが気に入らなかったんだろう。