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C級戦はそんなに甘くはありません ー12ー

「あっ……人気のあるゲームと聞いた事がありまして、娘も参加してるんですよ。会う時にはその話を何度もするので」



娘さんは離婚した母親と生活していて、たまに会う事が許されてる感じだな。夜野さんみたいに廃課金にならない事を祈るべきか、親譲りで重課金者になるか。



「それなら一緒にしたら会話が弾む……」



「いや……アイドルの子達を知らないのでね。娘のいうアイドルの名前も覚えられない始末でして……」



「そうなんですか? 俺とは推すアイドルが違うと思うけど、会って話してみたいですね。アイドル戦記で話せる相手が少ないんで」



思わず娘さんに会ってみたいと言ってしまった。夜野さん自体があまり会えない状態なのに、その一時を邪魔しようとしてるわけだ。それに加えて、大事な娘を父親に紹介させるというのも……父親とは付き合う中で最難関、最後の砦みたいな感じだとドラマなんかのイメージで植え付けられてる。



「……娘を紹介しろと言うんですか」



「えっと……それは話の流れで」



その言葉が出るのに間があったのが怖い。仕事仲間になるのに不穏な感じにはしたくない。冗談という方向に向かわせないと。



「……その時が来たら会わせてあげたいですね。娘も喜ぶかもしれません」



激昂するかと思ったら、夜野さんは淋しそうな笑顔で答えた。意外な返事だったけど、母親に会わないようにと言われたんだろうか。



まぁ、変に深い話をしたせいか、短時間で気兼ねなく夜野さんと話せるようになった。最近引っ越してきたとか、昼は別の仕事をしてるとか。その仕事や前の仕事が何かは苦笑いではぐらかされたけど。そんな事をしてるうちに朝の六時になり、バイトも終わる時間になった。



「お疲れ様です。夜野さんは深夜だけみたいですね。次も俺と一緒みたいなんで、その時はよろしくお願いしますね」



俺と夜野さんは同じ時間で終わりみたいで、俺は私服に着替えた。夜野さんは最初の出勤という事でスーツ姿。



「こちらこそ、次回もよろしくお願いします」



俺は帰りの挨拶をした後、徒歩で帰宅する。仕事場から家まで歩いて十五分。自転車を使っても良いんだけど、いつの間にか悪戯でパンクさせられたりするのが数回あったので、修理するのにお金が掛かるので徒歩にしたわけだ。



「はぁ……明日は休みだし、アイドル戦記の対戦もない。久しぶりに一日中寝ようかな」



そんな事を思ってると、誰かが俺の後ろをついてくるように足音が聞こえてくる。気のせいかと思って歩くのを止めると、足音も聞こえなくなる。深夜とかじゃなく、朝一からストーキングされるなんて。俺は恐る恐る後ろを振り返った。

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