C級戦はそんなに甘くはありません ー11ー
「夜野さんは結婚とかしてるんですか?」
夜野さんとは同年代じゃないし、共通の話を見つけるのは難しい。まずはジャブのつもりで放ってみる。
「離婚して、現在は独身です」
軽く放ったつもりが、カウンターとして重く返ってくるとは。独身の可能性もあったけど、離婚までは考えてなかった。深夜に働いてるんだから、その可能性を低く見るべきだった。
「いや、自分が悪いんですよ。別れるのも当然かと」
俺は申し訳ない気持ちになったんだけど、話を聞いて欲しいのか、理由とかを話し始めた。聞いてくれる相手もいなくなり、こっちから話をふった手前、止めにするわけにもいかないし。
「ゲームに夢中になりまして……家族に迷惑を掛けてしまったんです。それを止める事も出来ず……」
それが事実なら、どんなに課金したんだろう。アイドル戦記だったら、ゲームだけじゃなく、グッズと買ったり、コンサートに行ったりすると結構なお金が必要になる。妻と言わないで、家族と言ったのも子供がいたのかも。
「今はそれを止める事が出来たんですか?」
離婚という事になったわけだし、原因となったのを止める可能性もある。気軽にアイドル戦記の話をしていいのか判断出来ない。
「それが……少しだけ。違った意味でやってるんですがね」
違った意味というのはストレス発散とか、課金し過ぎて止めれないとかなのか。
「へぇ〜……そんなに面白いゲームがあるんですね。一体何てゲームなんですか?。俺がやってるのはアイドル戦記ぐらいで」
一機当千はメジャーってわけじゃないから、とりあえずアイドル戦記の名前を口にしてみる。それで反応があれば、それを中心に話が出来るわけだし。
「やはり」
「えっ、やはり?」
やはりって何だろう? 俺がアイドル戦記を確実にやってるオタクみたいに見えるんだろうか。