C級戦はそんなに甘くはありません ー8ー
「ファンサイトの掲示板で親父さんにコメントを入れてみますか?」
操縦にも慣れたほうがいいし、一緒に練習した方が連携も上手くいくはず。まぁ、それもカストルさんみたいに会える場所に住んでればの話だけど。ちなみにカストルさんは俺の家を知ってるけど、俺はカストルさんの家の場所は知らない。
「……別に」
勝つためにはその方が良いはずなのに、カストルさんは乗り気じゃないみたいだ。人見知りで、何回か一緒に戦わないと心を開かないのかもしれない。
「えっ……と、挨拶ぐらいはした方がいいと思うんで……おっ! 先にコメントをくれてるみたいですよ」
「はじめまして、姫の父親です。彦星さんにカストルさん、娘がお世話になっています」
「……これはジョークで、ツッコミ待ちとかですかね?」
ニックネームが親父だから、それを使っての冗談なのか事実なのか分からない。アイドルの家族がファンクラブに入ってるなんか聞いた事がないし、そんなのに入らなくても会う事も出来るし、コンサートのチケットとかも貰う事が出来るはずだ。けど、天川織姫の事を姫と呼ぶのが馴れ馴れしくも感じる。
「嘘に決まってるでしょ。たちの悪い冗談を言うなんて、私は好きになれないわね」
カストルには親父さんのコメントは不評みたいで、俺も天川織姫の父親というのは嘘だと思う。
「親父というニックネームからの冗談ですよね。父親というのは特別な感じがするので、その冗談はお薦めしませんよ」
「アンタが織姫の父親なんて口にするんじゃない。姫と呼ぶのもそう!」
あまり良い感じがしなかったので、嗜めるコメントを送る事にした。それに続いて、カストルさんのコメントは怒りをストレートに表した物だった。
「申し訳ありません。さっきの発言は訂正します。それと姫ではなく、織姫と呼んでもいいでしょうか」
俺とカストルさんのコメントに親父さんから丁寧な言葉で返事が来た。親父さんも掲示板を見てるんだろう。
「織姫で大丈夫だと思いますよ。こっちも冗談に乗らず、申し訳ないです。チームになったわけですし、仲良くやりましょう。アイドル戦記の練習がしたいとなら、場所次第では協力するので会うのも可能ですけど」
遠くだと中間地点で会うにしても電車代が掛かる。車なんて持ってるわけないし、カストルさんみたいに近場にいる事を祈るばかりだ。
「すみません。こういった場での会話はしますが、直接会うのは出来ません。その代わり、違うところでは手伝えると思います」
まぁ、ネットのメリットは直接会わずに話す事が出来たりする事。親父さんがどんな人か興味があるけど、拒否するなら仕方がない。