C級戦はそんなに甘くはありません ー7ー
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「どうするんですか! このままだとC級で一勝も出来ませんよ」
ハガネ戦敗北後、俺の家でカストルさんと作戦会議をする事になった。事前に相手の情報を調べなかったのは間違いだった。それもあるけど、問題なのは二つ。明らかに人数が足りてない。トレイターとフェアレーターの機体性能が良くても、カバーしきれない差がある。もう一つは戦艦の弱さ。D級の勝利数が少ないから、改造するためには課金するしかない。会員番号一番は俺だけど、貢献度のランキングというのがあって、撃破数の多いカストルさんが一位になってる。一位には戦艦の外装や、どのように改造するのか選べる。他は装甲や敏捷性など改造するなどしか出来ない。
「分かってる。C級を舐めてたのも認める。今回は私が課金をしてあげるわよ。改造の権利も私があるみたいだし」
カストルさんも責任を感じてるみたいで、ほぼ俺に金を出させていたのに、今回は課金してくれるみたいだ。しかも、戦艦の課金は機体に比べると良い値段するわけで、軽い設計図みたいなのも作らないと駄目みたいだ。
「設計図なんて書ける……って、そんなのアリなんですか」
カストルさんは携帯にタッチペンを使って外装を描いていく。ハガネみたいに派手というわけじゃないけど、本当に戦艦だと思わせる物だった。
「ルールとかヘルプに説明されてないんだから、問題ないはず。文句とかは私達は慣れてるでしょ」
「いや……確かに卑怯なやり方が多いですけど。戦艦を強化しても限度があるわけで。天川織姫にファンを増やしてもらうしか」
課金するとしても、俺やカストルさんの課金だけでは限界がある。ファン数を増やせば、課金してくれる人も増えるかもしれない。そのためには俺がそうだったように、天川織姫が求めるしかない。
「……それは織姫も考えてるみたいよ。私と彦星以外にファンが増えてるわ」
「本当ですか!……増えたのは一人だけなんですね」
アイドル戦記の画面で天川織姫のメンバーの中に見知らぬ名前が一人だけ増えていた。天川織姫のサイトでも会員番号三番が表示されている。
「名前は……親父! 本当に天川織姫の父親って事はないですよね」
彦星とカストル。天川織姫も含めると星座に関連してるわけなんだけど、親父だけ仲間外れな気がするのは俺だけだろうか。
それだけじゃない。俺が操縦するのはトレイターで、カストルさんはフェアレーター。二つとも反逆者の意味がある。三人目である親父さんも特別な機体が選ばれていた。けど、それは反逆者の意味なんかなく、モブの特別機。他が量産型モブに対して、旧モブ。旧となれば性能が量産型よりも下である可能性が高い。