C級戦はそんなに甘くはありません ー6ー
「俺達を倒すのが目的じゃなく、最初から戦艦狙いなんて。D級でそんな事はなかったのに」
アイドルが搭乗する戦艦が撤退、撃破されれば、どんな優勢な状態でも敗北となる。さらに撃破されるとアイドルのスキャンダルが公表される始末。そんな事があるから、戦艦は狙われにくいと思ったけど、そんなに甘くはないみたいだ。
だからこそ、ハガネの戦艦は強化されてるわけだ。劣勢でも一発逆転が出来るわけだし、それをさせないためにも戦艦の強化は必須という事になる。強化するためには課金という手もあるけど、勝利数によっても可能。けど、早期にC級に上がったせいで、全く改造する事が出来なかった。それよりもそんな意識がなかった。
「カストルさん! 戦艦が攻撃されてる。数が多すぎるて」
「ちっ! その手があったか。こっちも戦艦を狙うとしても間に合わない」
トレイターやフェアレーターを撃破するよりも、戦艦を狙う方が良いと判断したのだ。そのためにハガネは防御特化の歌を選択したわけだ。戦艦までたどり着けば勝利するだろうと。ここに来て機体数の差が響く。性能が上だとしても、戦艦を守る事まで手が回らないのだ。
「でも、天川織姫が歌えば、機体を弱体化出来るはずだから」
戦艦が移動出来ないわけじゃないので、距離を取りながら歌ってくれたら、まだ勝てる可能性もあるはず。なのに、天川織姫は歌う前に撤退を決めてしまった。攻撃を受けてる以上、スキャンダルを避けないと駄目。長時間耐えれるほどの耐久度があるわけでもない。天川織姫の判断は間違ってない。
けど、天川織姫にスキャンダルなんかあるのか。まぁ、謎が多すぎるせいで顔出しとかもその中に入るかもしれない。俺としては顔を知ってるし、声も聴いてる。公表しても何も問題ないと思うんだけど。
この敗北は他のアイドル達に天川織姫の勝ち方を教えるもので、俺達はC級の洗礼を受ける事になったわけだ。