俺は覆面アイドルのファン一号 ー3ー
「対戦相手は有佐アリサ、ファン数二十で戦争は……明後日の夜八時から!! バイトのシフトは朝から六時までの日だな……じゃなくて! 相手の数が十倍とか」
対戦相手はランクが一つ上とかではなく、D級のアイドルからランダムに選ばれるらしい。一応、ファン数が分かってるだけなので、どんな相手なのかをネットで調べてみる。
有佐アリサ、名字も名前もアリサ。年齢は十七で学生とアイドルを兼業。そのため衣装は学校の制服を着ている。学生なら通ってる学校内でファンがもっといてもおかしくないのに、その人数は何だか物悲しくなる。歌声を聴いてみても普通。顔も眼鏡と三つ編みで図書委員とか似合いそうな感じとパッとしない。まぁ、こっちはファン二人でそれ以下なんだけど。
「もう一人はアイドル戦記に参加してるのかな? 天川織姫のファンサイトがあればいいんだけど……あった!」
操縦の練習をするにもお金が必要。けど、それよりも同じファンのメンバーと一緒じゃないとそれが出来ないのが問題だ。だから、ファンサイトの掲示板で声を掛けてみる。有名アイドルならファン達は全国各地にいるかもしれないけど、天川織姫はアイドル戦記に入ったばかり。近場の人だと期待するしかない。
『天川織姫がアイドル戦記に参加しました。一人だけでは勝ち上がれません。なので、もう一人の方も一緒に戦いましょう』
俺よりも彼女がコメントしてくれたら一番良いんだけど、ファンサイトに書き込みもないし、ツブヤイターとかも参加してないみたいだ。
「すぐに返事が来るとは思えないし、取り敢えずバイトに行くか。アイドル戦記をしてる奴がいてくれたらいいんだけど」
時間は夜の九時。今日は深夜シフトで朝の六時まで。お客も少ないし、もう一人のバイトがアイドル戦記をしてくれてたら、助言が貰えるかもしれない。