バトルロイヤル開始 最後に立っていたのは誰ですか? ー10ー
「相手はハガネって奴みたいね。ファン数は八十とD級に比べて倍ね」
俺はカストルさんの言葉にホッとしながら、相手の情報を確認してみた。女の子でハガネって名前をつけるなんて珍しいと思ったら、男だった事に衝撃を受けた。アイドルは女性だけでなく、男性もいる事をすっかり忘れてた。しかも、男女隔たりがない。機体の操縦や歌が重要で、性別での力の差なんてないからだ。
「ハガネって、アイツの事か! 男が相手なら気兼ねする事ないな」
俺はハガネの顔写真を見て、解散した元アイドルグループの一人だと分かった。しかも、原因はハガネにあると噂されてるのをネットで見た事がある。ファンが八十人と少なくなり、C級という立場だけど地道に頑張ってるんだなとは思うけど、それはそれだ。
「気兼ねって……アンタにそんな余裕なんてないでしょ。相手は八十人だし、大体が女性ファンなはずよ。まぁ、操縦が上手いとは思えないけど」
カストルさん自身が女性なのに、相手の女性陣は操縦が下手だと思ってるみたいだ。ハガネも元アイドルグループだったからか、固定ファンがいたはずで、C級に上がれたのも人数の差とも思ってるんだろう。
「問題があるとすれば、持ち歌が三曲ある事ね。戦争中、一曲しか歌っては駄目ってわけじゃない。CD化された歌や、するための歌は使用出来るから」
CD化は昇格する時に得るだけでなく、C級以上になれば、イベントによって獲得出来るみたいだ。だから、C級では歌を二、三曲使用するアイドルが多い。選択出来るのは最高で五曲みたいだ。それでも、天川織姫に関しては歌が一枚もCD化されたわけじゃないから、選択も何もない。
「それでも、アイツがC級バトルロイヤルで生き残ったぐらいだし、まだC級だから何とかなるでしょ」
カストルさんも只野さんがC級のバトルロイヤルに参加して、勝ち残った事を知ってるみたいだ。明日香ちゃんの兄とは知らないまでも、西園寺アスカのファンだとは分かってるんだろう。それと只野さんの実力があるのは分かるけど、まだC級なわけだから、カストルさんが言いたい事も理解出来る。