バトルロイヤル開始 最後に立っていたのは誰ですか? ー8ー
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D級バトルロイヤルが終了から一週間経過した。天川織姫は最短でC級に上がり、戦乙女にまたしても一ページ掲載された。それにも天川織姫本人のコメントや写真は一切なかったんだけど。それだけじゃない。
アイドル戦記に一週間に渡るメンテナンスが入った。その原因は黄金の機体の出現が原因と言われてた。その間、所属ごとにD級からS級に至るまでTVに出演し、歌を披露するなどの祭りで謝罪の代わりをしたんだ。けど、どこにも所属していない天川織姫の出演はなかった。
「はぁ……やっとアイドル戦記が再開されるわけですけど、毎日俺の家に来るのは止めるんですよね」
カストルさんは不意をつかれた形なんだけど、エンペラーに負けてからは只野さんから借りた一機当千を俺の家でやり続けていた。ゲーセンでお金もかからない方法なのは分かるんだけど、負けたのがそんなに悔しかったのか。それとも、メンテナンス後に発表された事が理由なのか。
アイドル戦記が更新され、新たに追加されたのは機体や武器もある。その中にトレイターやフェアレーター姿はなかった。俺とカストルさんは本当にレアなのを手に入れたんだろう。
そして、更新したのは新たなイベントのため。運営が何も言わなかったエンペラーについて。この機体がトレイターやフェアレーターの色違いだったのは俺も確認している。そのエンペラーはボーナスキャラとして発表されたのだ。出現した際、撃破したアイドルはCD発売はさることながら、ドーム公演など、様々な事を選ぶ事が出来るそうなのだ。
しかし、撃破するのは難しい。いつ出るかも分からないし、出現して五分のみという時間制限がある。勿論反撃もさせるわけだ。D級のファン達、モブやノービスという機体が相手だったからと、あの攻撃が普通じゃない事は明白だった。
「何……迷惑なの? 色々と戦い方を教えてるじゃないの。私達は早く上に上がらないと駄目なんだから」
C級のバトルロイヤルが都合良く行われる事なんてなく、地道に勝ち続けていくしかなかったんだけど、エンペラーの存在が新たな方法を生み出してしまったわけだ。
「そんな簡単に上手くいくわけないと思いますよ。もう一度会うのも運が良くないと駄目だし、勝てるかどうかも」
エンペラーに会えるのも運みたいだし、級に関係なく出現するのなら、強さも半端ないわけだ。その強さも俺やカストルさんは経験済み。
それにカストルさんはエンペラーともう一度戦うつもりでいたんだろう。バトルロイヤルの報酬をC級に上がる事を選ばなかった。最終生存者でもC級昇格を選ぶ事が出来たので、先に俺が選んだのが原因らしい。それが事実か疑わしいけど、カストルさんは武器の所持数を増やし、各部一つだったのを二つした。それに対して俺は何もなし。サイン色紙が貰えるはずなのに、一枚も贈られてこないのは天川織姫のファンだからなのか。色々と不公平だ。
「次は油断なんかしない。それにアンタもいるわけだし」
カストルさんが俺を頼るなんて、そう言ってもらえると結構嬉しい。
「それって俺の実力を」
「盾になるだろうし、忠実な駒として動いてもらうから」
撤回する。俺の実力なんか認めてない。装備品の一つしか思ってなさそうだ。