バトルロイヤル開始 最後に立っていたのは誰ですか? ー3ー
「けど、モブ達が何体集まろうと負ける気がしないな」
俺もトレイターの扱いに慣れてきたし、本当に一機当千のCPUの方が早く動いてるから、反応も困る事がない。
「そっちも一位をキープしてるようね」
「うぉ! ……カストルさん? 違う場所で戦ってるのに通信が出来るんですね」
同時刻というのもあるのか、別の場所で戦っていても通信は可能みたいだ。という事は、相手メンバーが集合出来るのも納得出来る。
「そうみたいね。だから、アナタも注意する事。有利な戦場ほど足をすくわれるかもしれないから」
「有利な戦場って……何で思ってる事が分かったんですか!」
「こっちは近接戦闘が有利なのよ。隕石や宇宙船の残骸がいくつもあって、狙撃の妨げになるわけ。しかも、隕石にぶつかっても大破するから、常に移動しないと駄目だから」
地雷地帯は射撃、遠距離攻撃が有利なのに対し、暗礁区域では近接、接近戦タイプが力を発揮する。この振り分けは、俺とカストルさんにとって良い方向に向いてくれたわけだ。
「そうなんですね。でも、足をすくわれるって? 俺も成長したわけですし、カストルさんにも……」
カストルさんにも撃破数で負けないと言うつもりだったけど、現時点のランキングを見ると、僅かな時間ながらもカストルさんは撃破数が百を越えていた。あちら側の敵もカストルさんを倒すのを諦めたのか、二位や三位の名前が表示されるようになった。この時点でカストルさんの一位は確実になっている。それに対して、俺はようやく十機に到達したぐらいだ。
「私が何? もしかして、勝つつもりでいたとか。その自惚れも含んで、言ってあげてるのよ」
「自惚れって……こっちは特訓を積み重ねて、頑張った結果なんですから」
カストルさんと話をしながら、俺はトレイターを集団がいる場所に向かった。勿論、地雷とかを利用して一網打尽にするため。
けど、予想外の事が起きた。集まっていたのはモブではなく、ノービスが十五機。出撃する機体まで確認してなかった。しかも、水鏡リン専用機のカラーリング。課金してでもサイン色紙が欲しかったんだろう。
ノービスはモブよりも性能が良く、多様に武器を装備出来る。さらに同じファンクラブだから、連携も可能って事になる。
「……もしかして、カストルさんの方もノービスが何体もいたなんて事は」
「正解。水鏡リンのファン達よね。こっちで残ってるのは私以外がそうだから」