勝つために手段を選ばなかったら、悪役になりました ー15ー
「よし! 機体や装備はトレイターに似たようにしてと。難易度も上げればいいんですよね」
俺は説明書を軽く見た後、一機当千をスタートする。只野さんのセーブデータがあるおかげで様々な機体や装備、ステージが最初から選ぶ事が出来た。一からだとアイドル戦記みたいに量産型モブと装備も選ぶのは無理だったと思う。
「そうだな。最初から難しくした方がいい。協力プレイも出来るが、一人で戦うようなものだろ」
只野さんはバトルロイヤルで、カストルさんが戦闘に関して連携を取るとは思ってないみたいだ。俺もその考えには賛成で、別個で戦うような気がする。
「自分もそう思います。ステージは……ここにすればいいんですね」
只野さんの指示で選んだステージは宇宙。建物などの目印がない分、何処にいるか分からないかもしれない。隕石もちゃんと障害物として成り立ってるみたいだ。
「ここはコンテニューなし、回復アイテムも存在しない。アイドル戦記に似た感じのステージだな。敵の攻撃力も高いから、数発で簡単に撃破されるぞ」
「たかがゲームでしょ。そんなに難しいんですか?」
そう思ったのも束の間。開始早々、撃破されてしまった。何が起きたかというと後方から攻撃を受けた。画面に映ってないけど、小さく索敵範囲に敵がいたわけだ。アイドル戦記でも何が起きるか分からない。バトルロイヤルではオタ芸を披露するとも限らないわけだ。
「うおっ! 瞬殺された。確かに練習になるかもしれませんね」
今度は正面だけでなく、索敵のカメラも確認する。これが同時に出来るのはアイドル戦記でも役に立つはず。
それでもCPUだとしても難易度が高い設定だからか、意外な攻撃をしてくる。敵同士が重なったり、近くにいる時は積極的に攻撃してこなかった。敵にも仲間意識があるんだなと思ったら、巨大なレーザーが仲間を巻き添えにして放たれた。
これは只野さんが水鏡リンとの戦争で取った行動に似ていた。
「CPUの行動でも役立つ戦い方がある。そういうのはパクったもの勝ちだぞ」
「なるほど! これをやり込んでるから只野さんは戦い方が分かってるんですね」
俺はアイドル戦記は云々として、一機当千を純粋に楽しくなってきた。
「お兄から聞いたけど、バトルロイヤルに勝って、C級に上がろうとしてるんだってね。それが出来たら最短記録になるかも」
明日香ちゃんは何を思ったのか、そう口にした。俺も一機当千に集中してるせいで、エロ本を見たままで言ってるのか分からない。