勝つために手段を選ばなかったら、悪役になりました ー12ー
「凄いな。参加人数が四百を越えたぞ。僕も参加した事があったが、百人程度だった。それもD級にのバトルロイヤルのランキングに特別報酬が加わったからだな」
参加人数が四百を越えた事で制限が設けられたみたいでメンテナンスが入った。D級以外ならその人数も考え、別々振り分ける。百対百の戦争がメインで、一つの戦場にはその人数が限界なのかもしれない。それなら振り分けたら問題なくなるんだけど、運営も暗号を解読したかもしれない。
「特別報酬って……一位から十位までの撃破数の景品だけで、そんなの一切ありませんよ」
運営がD級だけを特別扱いするわけないし、人気があるのはSやA級。新規を狙うにしても登録した時に貰うもので、バトルロイヤルに特別報酬をくれるとは思えないんだけど、意外なところからの提供だった。
「運営からの報酬じゃないぞ。今回掲示板に書いたアイドル達のサイン色紙がプレゼントされるようだ。このせいで爆発的に増えたわけだ。アイドル戦記には一人のアイドルしか登録出来ないのに、違うアイドルからサインが貰えるとしたら当然。天川織姫はここに何かしたのか?」
掲示板にD級アイドルの一人が締めくくりとして、『宇宙アイドルセンター』という同じ所属のアイドル達がサインをプレゼントすると書いたみたいだ。それが何位までからも書いてなく、全員に貰えると思ってしまうかもしれない。
「そんな目を向けても、私が知るわけがないでしょ。所属するのを断ったからとかじゃないの」
只野さんはカストルさんが天川織姫の秘密を何か知ってるとまだ疑ってるみたいだ。カストルさんは天川織姫と会うために頑張ろうとしてるのに、それはないと思う。
「そんな目の敵にしなくても……こっちとしてはお祭り感覚に全然なれないんだけど」
「私は楽しみ。ほぼD級達のファンが出撃するなら、全員倒せば実質的にもC級だって事になる。モブ狩りをすればいいだけ」
「それって……また練習するって事ですかね。カストルさんが頑張れば。こっちとしてはお金が」
相手が百人以上となると、俺もどうすればいいか見当がつかない。練習するにしても人数があまりにも違い過ぎる。それに一番の問題は練習するお金が流石にもうない事だな。
「確かにお金は死活問題だからな。それなら良い方法があるぞ」
お金の問題はコンビニで一緒働いている只野さんも理解出来るんだろう。俺に何か良い方法を教えてくれるみたいだ。