勝つために手段を選ばなかったら、悪役になりました ー9ー
そして、俺のPCを勝手に使い始めた。ネットなんて今の時代携帯でも操作出来るし、ネット喫茶もある。別に俺の家で使わなくてもいいのに。それとも俺に見せたい映像でもあるのか。
俺はカストルさんが調べてる画面を覗くと、メールボックスだった。人のプライバシーを勝手に覗き見ようとしてただけだ。
「そこを見るのはおかしいでしょ!」
「天川織姫のメッセージはないわね。それにしても彦星には友達がいないわけ? 迷惑メールしかないんだけど」
確かにメールボックスにあるのは迷惑メールばかり。友達がいないのかと言われれば、メールのやり取りをするほどの友達はいない。カストルさんには只野さんが俺の友達ではないと認識してるみたいだ。
「友達がいないのはこっちの勝手ですよね! それよりも天川織姫からメッセージって。それって、前回の時、カストルさんも天川織姫から何もコメントを貰ってないんですか?」
練習に付き合ってもらったせいか、こちらが年上な感じがあるのに、カストルさんに対して敬語になってしまう。そんな事よりも、カストルさんの言葉からして、俺同様にカストルさんも天川織姫から返事の一つも貰ってないみたいだ。
これはカストルさんが今の天川織姫について知ってるという可能性は低くなった気がする。
「一応、会員番号一番のアンタには届く可能性があると思ったから。そのメッセージをアンタが消すとも思えないし。やっぱり上位にならないと駄目のようね」
「上位って……天川織姫じゃなくて、俺達が目指すのに何か理由があるんですか?」
「S級になれば、アイドルに直接会う事が出来るためのイベントが用意されてるの」
その言葉でもカストルさんが最近天川織姫と接触してない事が分かる。カストルさんは天川降り立った本人と会いたいためにアイドル戦記をやってるみたいだ。それを聞くと俄然俺もやる気が出てきた。俺自身、天川織姫ともう一度も会いたいからだ。
「それに参加するためにも、出来るだけ早く階級を上げる。だから、今回のバトルロイヤルに出場するわよ」
「今回のバトルロイヤルって……普通の戦争とは違うみたいだけど」
カストルさんの方がアイドル戦記の情報が早いみたいで、俺には何が何だか分からない。
「バトルロイヤルとは、お祭りみたいなものだよ。参加するのも自由。参加人数によっても変わるが、一位には階級をランクアップさせる事が可能。だが、CD発売とか何かを与える事はない」
只野さんはカストルさんの一撃から復活したのか、ドアをノックもせずに勝手に人の家に入り込んできて、会話に加わってきた。