勝つために手段を選ばなかったら、悪役になりました ー8ー
「ちょっ……何で俺の家を知ってるんですか!」
居留守という手があったのにも関わらず、思わずドアを開けてツッコミを入れてしまった。
「コンビニから後をついてきただけ。上がらせてもらうから」
「ま、カストルさん待ってください」
カストルさんは借金取りかのように許してもないのに、ズンズンと家の中に入っていく。家の場所をコンビニから追いかけてきたって、仕事場も把握されてる。まるでストーカーみたいだ。
「おっ! 星野氏が名を叫んでいたが、君がカストル氏か」
「アンタ一体誰?」
そんな広い部屋じゃなく、1DKだからすぐにカストルさんは只野さんと対面した。しかも、只野さんは座ってたのを挨拶するためなのか、わざわざ立ち上がった。
と思ったら、何を考えてるのか、只野さんはカストルさんのサングラスを何の許可もなく勝手に取り外した。
「挨拶するとなれば、お互いの目を合わせるべきだと僕は……ガバッ!」
その行動にカストルさんは瞬時に只野の鳩尾に強烈な正拳突きを打ち込み、サングラスを取り返した。只野さんはオタクであり、体を鍛えていない。無防備という事もあって、女の一撃でも気絶してしまった。
只野さんは一瞬でも俺も見た事がないカストルさんの顔を少し見れたわけだ。けど、その代償がこれだ。カストルさんは気絶した只野さんを引きずって、俺の家の外に出した。俺はそれに対して何も言えず、カストルさんは何事もなかったように、さっきまで只野さんが座って場所に陣取った。




