勝つために手段を選ばなかったら、悪役になりました ー3ー
「利用出来る物は何でも使う事。それは地形でも言える事。相手に攻撃するだけが倒せる方法じゃないからね」
市街地Aなら狙いのはビル群。相手を崩壊に巻き込ませればいい。ここで狙うのは主戦場になる橋。
「グレネードの半分でいけて欲しいんだけど」
相手のモブ達を狙うと思わせて、目標はその手前。それを撃った後、少し後ろから前に向けて撃ち続ける。グレネードだから命中率が悪いと、罠だとは思わずに前に進んでいく。
走り出したら急には止められない。しかも、グレネードの煙幕で視界が良好じゃない。上からのグレネードの集中して、下なんて見ないだろう。だからこそ、モブ達は落とし穴にはまったみたいに、ポコポコと海へと落下していく。モブは海に適応してなく、撃破扱いとなる。
「これで残るのは七機。はぁ……半分しか倒せなかったか」
意表を付いた攻撃。これで人数の差をどれだけ埋めるか。まぁ、絶対に勝たないと駄目なんだけど、必要不可欠な物がある。
橋の中央が破壊され、通るためには跳ぶしかない。相手はそこを狙い撃ちされるのではと警戒する。切り抜ける方法の一つとして、アイドルの歌がある。機体性能の向上。
「マチルダさんが歌い始めたみたいだな。能力は何だろ? スピードとか跳躍が上がった感じはないし。それよりも」
こっちも天川織姫が歌わないと駄目。その力で俺を勝たせるってわけなんだから。俺自身どんな能力か知らないし、久しぶりの歌声でドキドキしながらも、身を隠すのをやめて橋に向かう。