女子二人を相手にするのは許容範囲を越えてます ー9ー
「だから! ちょっと……待って……くれませんかね」
強気な発言をしようとしたけど、二人が凄い顔で見てきた事で年上なのに怯えてしまった。ちなみにカストルさんに関しては雰囲気です。
「何? 織姫の事を馬鹿にしたのよ。ファンとしては黙ってられないでしょ」
それはお互い様だと思うし、カストルが言いたい事もファンとしては理解出来る。けど、それとこれとでは別だぞ。
「天川織姫を無視して話を進めるのもどうかと……それに力を見せるって、相手も分かってないのに俺一人だなんて」
「そんなの知らないわ。そっちが言ってきた事だし。星野さんには悪いけど、私達の喧嘩に付き合ってもらうから。今回はこれで帰ります。だからって、次から私の事を無視するとかなしですよ」
そう言い残して、明日香ちゃんはゲームセンターから出て行った。天川織姫とカストルさんを敵としたけど、俺は別のようだ。
「で、本当にどうするつもりなんですかね? 俺はまともに戦った事がないんですけど。本当に次の戦争に参加しないんですか? それだと多勢に無勢になりますよね」
俺はカストルさんが一人になった事で明日香ちゃんと二人の威圧感が薄まり、怯える事もなく状況の打破を教えてもらう事にした。
「勿論参加しないわね。まぁ、何かを賭けたわけでもないし、負けたとして何も問題がないけど」
確かに次の戦争に負けたとしても、カストルさんが明日香ちゃんの元へ行くって話にはなってなかった。それでも、明日香ちゃんは勘違いしてる可能性はあるんだけど。
「アンタには勝ってもらう。負けても操縦が下手で済むけど、勝てば天川織姫の歌の力って事になる。そのためにも次の戦争までには上達してもらうから」
前の戦争を見た視聴者達は俺が下手だと思ってる。実際に明日香ちゃんも思ってたぐらいだ。それが次の戦争時、天川織姫の歌を使って勝利すれば、彼女のおかげとなるわけだ。それでも俺の操縦がある程度上手くなってないと意味がない。歌の力で勝手に操縦してくれるとかなら別だけど。
そんな事を言いながら、カストルさんは手を差し伸べてきた。今度こそ一緒に戦おうと握手を求めてきたんだと思ったのに、またしても払われた。
「練習のためのお金! 払ってくれるって言った」
確かに上達するために払うつもりでいたけど、明日香ちゃんの件が絡んできた以上、何か腑に落ちない。それを言う事も出来ず、俺はカストルさんに百円を渡した。




