夏イベントは海、祭、肝試し ー117ー
「……そういう事。残念だけど、死んだのは奴の方。悪魔に魂を売ったんだもの……これで終わらさないわ」
それはイベントで用意された王妃の言葉というわけじゃない。更にその声はマイクから通った声ではなく、頭に直接送られてくるような感覚。
それは俺だけじゃなく、明日香ちゃん、只野さんもそう。参加者達でさえも同じみたいで、挙動不審みたいにノービスは首を動かしている。
その直後、テオドラに剣を刺していたボーンが突如爆発した。
「おいおい……もう一回姿を変えるとかなしだって。あの姿はジェミニみたいじゃないか」
刺された胸部分は修復され、スカートのような蛇のような鞭が本物の蛇の体に変化し、先の部分が蛇の頭。その姿は物語などに出てくるラミアという魔物のよう。救いがあるとすれば、蛇化した部分が伸びたが、ジェミニさんみたいに巨大でない事。
それでも前には蒼さんと搭乗する試作機に加え、Pモブのコード『ボクサー』があって撃退する事が出来た。そのレベルの機体は一体もなく、フェアレーターがもう一回登場してくれるとも思えない。
「彦星氏……あの姿はジェミニ嬢と同じだと考えるのであれば、撃破されれば」
「そうだと思います。これは予想以上にヤバい展開だと」
けど、予想外の手助けが施される展開になった。時間は残り十分なはずが、三分と短縮された。それは運営側が早く終わらせるという意思表示な。ダンスマンの言葉から、運営に裏切られたのかもしれない。




