夏イベントは海、祭、肝試し ー110ー
「他に入口を探す時間なんて……」
門にルークがいるのを確認した機体は、ジャンプして城壁を越えようとした。ノービスでもそれぐらいの性能があるはずなのに制限され、高さもそうだがスピードもそう。的にしてくれと言ってるようなものだった。
「なるほどな……そういう事か。時間の猶予もない。僕が何とかするから、星野氏は突入の準備はしておいてくれ」
只野さんはルークを倒す方法を見つけたみたいだ。見ていたのは飛ぼうとしたノービスが大砲に撃ち落とされるところ。よく見てみると大砲は城壁内部に隠れたボーンの装備。しかも、城壁の端部分に階段が用意されている。
「只野さんは大砲を奪うつもりなのか」
ジャンプが制限されてるのであれば、入口はルークが守ってる門のみだろう。端の階段は大砲を奪うために設置された物で、城に入るためのものじゃないし、背後に回るためものでもないはず。
「けど、その大砲だとルークを倒せない」
ボーンが装備出来る武器。ノービスは撃破出来ても大破まではいかない。戦闘続行不可能であって、形は少し残っていた。しかも、大砲は持ち運べたとして一発限り。敵が一つの大砲を連発しないのは、弾を装填する準備が必要。
時間は五分の一がすぎてしまった。モニターにも時間の経過が分かる。それを知らせるためなのか、城にある一つの窓が割れた。争いが起こってる事を教えるための設定か。
時間経過の焦りからなのか、只野さんは至近距離から大砲を放つのかと思ったら、ボーンがいた場所からこちらに向けて撃ってきた。
それはルークには当たらず、その手前で爆発した。しかも、仲間すらも巻き込んでる状態。それを大砲を奪っては何度も繰り返す。これだとボーンとやってる事は一緒だ。
「只野さん! これだと俺達が不利になっていく一方」
「そろそろルークが倒れるぞ」
俺の言葉を止めて、只野さんはルークが倒れると言ってきた。ルークに大砲は一度も当たってない。けど、周辺の地面は爆発によってボロボロになっており、一歩踏み外したように倒れ込んでしまった。
「ルークは背中が弱点だが、もう一つある。正面全体の装甲が厚く、それは下半身も同じ。そのせいで一度倒れてしまうと立ち上がれない。撃破出来なくとも、倒せばいいわけだ……っと、そんな説明よりも、先に行ってくれ!」




