夏イベントは海、祭、肝試し ー104ー
「さて……今回の戦闘をどうするべきかだな。明日香はダンスマンへのリベンジ戦だと思うだけだが、何か起きると見て動いた方がいいだろう」
明日香ちゃんと八雲さんがリハーサルに行った事で、只野さんが今回の戦闘について話し出した。
「そうですよね。けど、やれる事は出来るだけ早く城に突入する事しかないのでは? ライブでは明日香ちゃんが王子役だけど、戦闘で筐体の中で入れ替わるのは不可能みたいですし」
このイベントで何か起きるとすれば、ダンスマンと明日香ちゃん、八雲さんが三人の状態の時だと思う。それも撃破される事によって意識不明になるとすれば最悪だ。
そこで筐体の中に入るのをフェイカーさんにして、プリンスの操縦を任せる方法はないかと聞いてみたら、王妃であるダンスマンに筐体の中へ二人は入れられる形になってるらしい。
「プリンスではリベリオンや試作機と勝手が違う。明日香ならある程度はやれるのだろうが、八雲嬢を守りながらだからな。テオドラ自体の性能はそれほどでもない。アレクサンダーや服部半蔵のようや特化したものはないが」
アレクサンダーは機体として最大サイズであり、代償として参加出来る機体が少なくなる。服部半蔵は忍具と独特な武器や能力、敏捷度は最高ランクだが防御力はなく、一撃で撃破される。
テオドラという機体に関して、只野さんが携帯で検索してくれた。そこは様々な機体の状態が掲載されている。所持者が情報を提供するのもあるけど、客観的に見た情報だったりする事もある。トレイターやリベリオン、フェイカー機も名前は記載されてるけど、然程情報は書かれてない。
「えっと……地上のみで……性能はプリンセスと同等くらい。開始十五分後からじゃないと出撃出来ない」
開始十五分後からの出撃は、勝利条件が全滅だった場合、それまでに終了すれば不参加に終わってしまう。
「戦闘準備の時、二つのタイプから一つを選ぶ。踊り子タイプと王妃タイプ? 」
飛行機タイプから人型に変形出来るなどではなく、戦闘準備時にスタイルを決めるみたいだ。
英雄の名前を使ってる以上、由来した能力があって当然かもしれない。テオドラというのは貧しい踊り子から、王妃へと登り詰めた女性。
踊り子スタイルの場合、性能はプリンセス以下になり、武器の所持も許されない。だが、アイドルの歌の効果を踊る間は継続され、二曲目に入った時にでも一曲目の効果が機体に付加された状態。三曲目に入ると、それまでの曲の効果も持続する。まぁ、十五分だから一曲目の歌の効果を受ける事はないかもしれないけど。
王妃スタイルはプリンセスと同等の性能。遠距離武器の使用は付加であり、武器は剣のみ。けど、王妃スタイルの能力は兵士であるボーン、CPUの機体を召喚。仲間の機体の数が少ないだけ、多く召喚する。テオドラだけが残ってた場合、残り九十九機を呼び出す。全機倒さなくても、テオドラを倒せば消滅する。召喚されても、敵というよりも武器としてカウントされるわけだ。
「今回は服装なども考えて、テオドラは王妃スタイルだろうな。それも二対一ではなく、二対百になる可能性もある」




